第278問(2010年12月5日 郷田九段-豊島五段戦) |
(問278-1) 先手郷田九段、後手豊島五段で戦型は後手のゴキゲン中飛車。先手が▲3七銀から▲4六銀と早めに出た手に対し、後手は一直線に穴熊へ。それを見た先手が今度は一直線に切り込んで華々しい戦いが始まった。 下図は、8三の馬を▲6五馬と引いたところで、後手としては馬を作られている代わりに角と自陣の歩を手持ちにしている。但しゆっくりしていると▲2一歩成からの攻めが間に合ってしまい急がされている局面でもある。 ここで後手豊島五段の指した一手は?何かを受ける、という訳ではないが、このような中盤で良く指される手筋の一着とは? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問278-2) △5五角や△2七歩▲同飛△5四角打などの筋を背景に、後手が8筋から手を付けたところ。△8七歩成▲同玉に今△8六歩と玉頭を叩いているが、先手の次の一手は何か?むろん王手なのでどちらかの駒で取るか逃げるかしかないが、その後まで考えて次の一手を指すことになる。 |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
|
(問278-1解答)「馬を消す角の合わせ」 馬というのは、盤上どこにいても強力だ。特に中段に構えている馬や玉の近くにいる馬は力があり、一局の中心になっていることが多い。その馬を持っている角で消す、と言うのは中盤に良く出る手筋。ここでも△7四角がピッタリの一手。▲同馬△同歩なら馬が消え△5五角が残るし、馬をかわすと△4七角成で後手も馬を作ることができる。 実戦は、▲5三歩と叩き、△同飛なら▲7五馬と先手でかわそうとしたが、▲5三歩に強く△6五角と馬を取り▲5二歩成△同金と進み飛角交換になった。 |
(問278-2解答)「四段目の玉頭の歩は(基本は)取る」 叩かれた歩を残すといつでもその地点に駒を打ち込まれる手が残り、大きな利かされとなってしまう。この場合、▲同銀と取るのは△5五角があり、非常に危険に見えるが、△5五角には▲2五飛が読み筋で△9九角成▲6五飛で堪えていると見ている。もちろん、▲2五飛のような切り返しがないような場合は、利かされになっても▲7八玉と逃げるのが最善になることも多い。 本譜はその読み通り、△5五角に▲2五飛から▲6五飛となり、実際どちらが勝っているのか分からない難しい終盤戦になったが、△8三歩のない穴熊の急所である▲8四桂が入ると、先手は一気に後手の穴熊を寄せ切ることに成功した。 |
先週の問題へ/来週の問題へ |