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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年3月7日出題)

第290問(2011年3月6日 羽生NHK杯選手権者-渡辺竜王戦)
(問290-1)
先手羽生NHK杯選手権者、後手渡辺竜王で戦型は相矢倉。そして、昨年の竜王戦第2局と同じような進行をたどり、両者が指定局面を考えていたような猛スピードで進んでいった。
下図は先手の攻めがつながるかどうかという局面。4四にいた馬を▲7一馬と飛車取りに入ったところだが、ここで指された渡辺竜王の次の一手は?感想戦では悔やんでいた一手で、何が正着かも難しく、結論は出ていなかったが、このような局面での考え方として。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問290-2)
先手の攻めはつながりそうだが、実際はギリギリ。ここで後手渡辺竜王の指した受けの一手は?中盤や終盤で時々出てくる手筋の一着。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問290-1解答)「飛車の横利きより駒を渡さない受け」
飛車の横利きが消えると▲4一銀が厳しくなるので、△9二飛は仕方ないのかと思っていたが、ここで渡辺竜王の指した一手は△8四飛だった。但し、この△8四飛は局後悔やんでいた手でもある。△8三飛と一つ浮き、▲7二馬に△8四飛。この方が馬の位置はずれる。もっとも、これも検討では難解で受けきっているという感じではなかった。
△9二飛あるいは△8三飛から△9三飛のような手は、「桂を取られると攻めが厚くなるので・・・」と検討にすら値していないことが印象的だった。
結局、短い感想戦では正着は分からず。問題はもう少し前にあるのかもしれない。


(問290-2解答)「相手の金の位置を下段に移動させる」
金やと金などの成駒は、引いて使うのが基本。逆に言うと、下段に入るほど、その威力は弱くなる。という訳で、△3二歩のように金頭に歩を叩いて、下段に呼び込むのが一つの手筋だ。▲同金と取ってくれればそれだけでも大きな利かしで受けやすくなる。

実戦はここから▲2二金△同金▲同桂成△同玉と精算。そして直後の▲3九香が当然とはいえ好手。これで後手の受けがなくなった。しかし、この▲3九香に気づかないと受けきれる可能性も高く、△3二歩は実戦に応用も利くので覚えておきたい手筋。
本譜は端歩を開けて頑張るが、この後数手、先手玉を攻める番は回ってこなかった。
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