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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年4月4日出題)

第293問(2011年4月3日 中村(太)五段-松尾七段戦)
(問293-1)
2011年度の開幕戦。先手中村五段、後手松尾七段で戦型は一手損角換わり。双方が腰掛け銀に構え、細かいやり取りの後、先手が仕掛けて戦いが始まった。
下図は、▲5六の銀を交換し、攻めに厚みを加えようとした所だが、直後に△5五角を打たれ、△4七歩成と△9九角成を見せられたところ。ここで指された先手中村五段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問293-2)
後手からは△6六桂の攻めがあり、先手もゆっくりはしていられないが、▲8八銀△9八馬▲9九香の馬取りを見ながら、今端を攻め、この1三の地点はもっと忙しい局面。当然、平凡に▲1三歩成と成り込まれてはいけないが、ここで放った受けの一手が妙手だった。後手松尾七段の次の一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問293-1解答)「終盤は攻防の一着を見つける」
△4七歩成と△9九角成は同時には受からない。もちろん受け以上の厳しい攻めがあればどちらも受ける必要はなくなるが、そのような手もこの局面ではない。そこで、▲1八飛と寄った手が、一つの攻めの手段である△4七歩成を受けつつ、▲1三歩成あるいは▲1三銀からの攻めを見た攻防手だった。
後手も△4七歩成を受けられた以上△9九角成と成るしかなく、▲1三歩成から最後の勝負所に入った。


(問293-2解答)「常識の隣にある妙手」
▲1四歩に対し、普通は△1二歩と受けるもの。このように受けるのが正しい場合が、99%と言って良いほどの当然の筋だ。しかし、ここで△1一香と香で受けたのが、その筋の隣にある見つけづらい妙手だった。
▲1三歩成には△同香と取り、普通は▲1四歩と打たれて香を取られてしまうのだが、もう一枚香を持っている為、△1四同香と取り、▲同飛には△1一香で飛車を捕獲できる。
実戦は▲1六香△1二歩と進んだが、香をお互いが使い合った為、先手の一つの狙いである▲8八銀△9八馬▲9九香という筋が消えてしまった。

本譜は、この交換が功を奏し、先手の攻めが一段落。後手が待望の△6六桂から一気にたたみかけ、松尾七段が開幕戦を制した。
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