第292問(2011年3月27日 羽生NHK杯選手権者-糸谷五段戦) |
(問292-1) 先手羽生NHK杯選手権者、後手糸谷五段で本局が決勝戦となる。戦型は角換わりで、両者が早繰り銀というやや珍しい形から、中盤で早くも手将棋、その後、後手が四間に振り、激しい戦いが始まった。今、次の▲4二との厳しい攻めを見て▲4一飛と打ったところ。ここで後手糸谷五段の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問292-2) ギリギリの攻めのあと、後手が反撃を開始。やや先手玉の方が安定しているこの局面は、後手に入玉さえ許さなければ勝てそうだが、今△5五歩と金取りに歩を突き出されたところ。ここで先手羽生NHK杯の指した次の一手は何か?この金の処置は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問292-1解答)「後手にならない先手ではない受け」 終盤の受けは、出来れば先手を取りたい。しかし、△3一金打と先手で受けても、▲8一飛成が次の▲4四桂を見られて結局は先手になっていない。△4三金打と打つのは、▲4二とを受けただけで、何の取りにもなっていないが、▲8一飛成と桂を取られても次に厳しい手がないという「先手ではないけれども、次の手が後手にならない」という渋い一着。 これに実戦は▲8一飛成△5九角とさらに入玉含みで粘っていった。 |
(問292-2解答)「上部を止める為に玉から離れる」 金銀は基本は玉の守りの近くにいた方が良い。従って、逃げるときは通常は玉の方へ寄るのが基本だ。しかし、この局面は、玉の囲い自体は十分固いし、むしろ後手玉に上部へ脱出される心配をしなくてはならない。従って、有段者ならほとんどが▲4六金と寄るのを奇異には感じないだろうし、こうして攻め駒として使う方が自然だ。 実戦は、以下△4五歩▲1五歩△2三角▲3六金△3五歩▲3七金と進み、入玉を完全阻止。最後は後手玉に必死がかかり、羽生NHK杯選手権者の3連覇で第60回NHK杯将棋トーナメントが幕を閉じた。 |
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