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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年8月1日出題)

第310問(2011年7月31日 島九段-甲斐女流王位戦)
(問310-1)
先手島九段、後手甲斐女流王位で戦型は後手のゴキゲン中飛車。先手の島九段が、▲4六歩から▲4七銀と穏やかに組み上げた後、▲4五歩から▲4六銀〜▲3五歩とやや意外な仕掛けで戦闘が始まった。下図は角と銀が交換され、△5四飛と歩を払った手に対し▲4三角と飛桂取りに打ち込んだところ。飛車取りなので逃げるしかないが、ここではどこへ逃げるのが良いか。後手甲斐女流王位の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問310-2)
先手は馬を作ったものの、後手も反撃し、ここでしっかり受けないと、美濃の固さを生かしてしまうことになる。今▲4七金の角取りに△5五角と香取りを見せながら引いたところ。ここで先手島九段の指した一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問310-1解答)「安定した位置に引いて「後の先」」
ここで甲斐女流王位は△5一飛と下まで引いたが、これが最も普通の手。中盤や終盤では先手を取ることも大事だが、△5三飛と引いて角に当てるのは、▲2一角成の後、▲5四歩がいつでも利き、結局後手を引いてしまう。ここでは、何もしなくても△5五角という手が残っており、「後の先」となっている。それならじっと5一まで飛車を引いておいた方が陣形がしっかりしているという訳だ。

(問310-2解答)「大駒に当てて先手を取る」
第1問では当てなかったが、ここは逆に▲6六銀と当てるしかないところ。ここで当てずに▲7七銀や桂と受けるのは、△3七歩成▲同桂△3六歩と、こちらからゆっくり攻められてしまう。
実戦はこれでも△3七歩成▲同桂△3六歩と進み、▲5五銀△3七歩成▲同金△5五飛となり角と銀桂の二枚換え。

この後、▲4四馬と飛車取りに当てた手に、△2五飛と飛車をぶつけたが、これが疑問手(感想戦で)。飛車交換後に▲4一飛と先着されるとあまり粘りようもなく、島九段が一気に後手玉を寄せきった。
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