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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年7月25日出題)

第309問(2011年7月24日 牧野四段-山崎七段戦)
(問309-1)
先手牧野四段、後手山崎七段で先手の牧野四段が五手目に角道を止めたため、相矢倉となった。じっくり組み合い、先手は矢倉城へ、後手は穴熊へと入った後、今後手が△8五桂と跳ねてきたところ。矢倉でこのように銀取りに桂が跳ねることは良くあるが、ここではどのように指したら良いか。先手の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問309-2)
後手がうまく手を作り、8六の拠点も大きくやや有利。今4五の桂が▲3三桂成と銀を取ってきたところ。当然この桂は取り返すしかないが、どの駒で取るのが正解か。後手山崎七段の指した次の一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問309-1解答)「桂頭へ逃げる銀」
矢倉で、△8五や△6五へ桂が銀取りに跳ねてくることは多いが、その時の応手は主に三つ。一つ目はこの図のように桂頭へ逃げる手。二つ目は▲6八銀や、(8八の玉がいない場合)▲8八銀など下へかわす手。三つ目は手抜きで△7七桂成を甘受する場合。
この局面のように▲8六銀と桂頭へ逃げるのが、もっとも普通で疑問手になることも少ない。相手からの攻め筋がなく、▲8六歩などで桂をタダで取れそうな時は下へ逃げる場合もある(但し、相手もそれを承知で跳ねて来るので実戦では成立しないことが多い)。三つ目の手抜きは、他の(逃げる以上に)もっと厳しい手がある場合に指す。
ここでは、8六へ逃げる手が桂取りの先手にもなっているので、ほぼこの一手とも言える。後手も銀を離れさせ、矢倉を薄くしたことに満足し、結局は△8四歩と手が戻ることになる。

(問309-2解答)「金二枚が縦に並ぶ陣形」
ここで山崎七段の指した一手は△3三同金左。まず、銀では取れないし、桂で取るのも、飛車が交換になるといきなり王手されて受けに利かされることもある。そこで、どちらかの金で取るのが普通だが、ここでは左で取る方が筋が良いし、囲いもこの方が崩されにくい。
と言うのも、△3三金直と取ると、2二が開いていなくて王手されないので良いようだが、▲2四歩と取り込まれ、▲2三銀と打ち込まれた局面を考えると、金は2二より3二へいた方が詰ます為に一枚多く必要になる(2二に駒を打ち込み、△同金▲同銀成となる為)。
また、飛車がいなくなった場合も、▲3一銀とかけられるといきなり詰めろになることも考えられる。矢倉の時でもそうだが、金二枚が縦に並んだ形は、固く、詰めろがかかりにくいので覚えておきたい。

実戦は、この後、▲6三角と飛車取りに打ったが、その直後に△8七銀なら殺到。△8六歩と王手飛車を伏線に再度の拠点を作り、決めるだけ決めて飛車交換に出ると、これを避ける手がなく、一気に先手玉を寄せきることに成功した。
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