第313問(2011年8月21日 糸谷五段-北島六段戦) |
(問313-1) 先手糸谷五段、後手北島六段で戦型は、後手の角交換向かい飛車。中盤、先手が玉頭位取りを目指した手に反発して、玉頭で小競り合いが続いた。7四の銀は大きな顔をしているが、駒がないのでこれ以上の攻めはない。そこで、▲2二角から今▲1一角成と香を取ったところ。ここではすぐに何かを受けなければいけないという事はないが、振り飛車を持っていると時々出てくる味の良い一手がある。後手北島六段の指した次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問313-2) △5五歩で先手が攻めを急がされているが、7四で金桂交換した手も大きく、ここで受け間違えるといっぺんに終わってしまう可能性もある。次に▲7三金と打たれては寄ってしまうので、この地点を受ける一手だが、平凡に受けるだけで良いのかどうか。後手北島六段の次の三手一組の手順は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問313-1解答)「角筋を先手で止める」 ここで北島六段の指した一手は△3三桂。この手は場合によっては△4五桂などの攻めも見ているが、むしろ馬の先手陣への利き(守り)を消すという意味合いの方が大きい。それも6一に飛車がいる為、△3三桂は馬取りの先手になっている。 馬の利きというのは守りには絶大で、局面によっては先手でなくてもさえぎっておく手は有力なことが多い。それをここでは先手で止められるのだから跳ねておいて損のない手だ。 気を付けなければならないのは、似たような局面でも△1二に香がいるような場合。部分的に先手でも▲1二馬と香を取られその香を使って攻められるような場合には、△3三桂が逆に悪手になることもあるので注意が必要。 |
(問313-2解答)「攻め味を付ける手筋」 ここでの手順は△7五歩▲同香に△7二歩。 ▲7三金と打たれてはいけないので、△7二歩と受けるのは当然であるし受けとしてはこれが正解でもある。但し、単に受けるのは後手への攻めの手がかりが難しい。△7五歩と一歩を使い▲同香とさせておくのはなぜかと言うと、7六の地点が開き、6七の金がいなくなると△7六桂が非常に厳しい攻めとなるからである。 実際、本譜はこの後、▲6二金に△4八馬▲7九飛△5六歩と攻め合い、△7六桂の筋を常に見せつつ、厳しく先手玉に迫った。その為、飛車を取るのでは手負けと見た糸谷五段は▲7三歩成から急襲。しかしその攻めも一手足りず、確実な一手スキで迫った後手が勝利した。 |
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