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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年10月24日出題)

第321問(2011年10月23日 久保二冠-遠山五段戦)
(問321-1)
先手久保二冠、後手遠山五段。振り飛車党同士の一戦は、先手の久保二冠が三手目▲2六歩と居飛車を明示し、後手の遠山五段がゴキゲン中飛車と飛車を振る形になった。下図は、部分的には定跡の一変化で、▲6五角から▲4三角成と成り込んだ手に、△7四角と反撃したところ。次に△4七角成と同じように成られると、4六の銀が浮いている分先手の方がまとめづらい。そこでこの角成りを防ぐことになるが、どのように防いだら良いか。その後の後手の手から想定される局面を考えながら受けることになる。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問321-2)
あまりぬるい手では▲3二とから▲2一飛成が間に合ってしまうと言うことで、△5七飛成と飛車切りの強襲をかけ、▲同金に△5五角と打ったところ。ここで指された先手久保二冠の次の一手は?この角は、△3七角成を狙うと共に、局面によっては△7七角成▲同玉△6五桂も狙っている。この△7七角成がどのくらい危ないかも考えて、次の着手を決めることになる。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問321-1解答)「棋理に反する受け」
ここで久保二冠の指した一手は▲5八金左。この先手の陣形だけを見れば、あまり良い形ではない。と言うのも、本来金や銀は、玉の方へ寄せて行くのが正しい使い方で、玉の安全も図れるからだ。なので、このように玉から離れていく指し方と言うのは、場合の手として本筋ではないことを銘記しておきたい。
しかし、この局面は、次に何でも△4二金と馬を捕獲される手があり、角金交換がほぼ必然になるということを考慮する必要がある。4七を守る為、本来なら▲5八金右と上がるのが自然だが、角を持たれると、常に△3九角が生じてしまい、この局面に限って言えば、▲5八金左の方がしっかりしているということだった。


(問321-2解答)「両取り逃げるべからず」
単純な両取りという訳ではないが、△5五角には、3七の桂取りであると同時に△7七角成も狙っており、同時に二つの狙いを持った手と言える。その為、この二つの狙いを同時に防ぐことは出来ない。
そこで久保二冠の指した一手は▲3二と。部分的には攻めの手で、受けの手とは言えないが、△3七角成の時に、▲2一飛成を見せた、間接的な受けの一手であると言える。

本譜は2三にと金がいれば、ダイレクトに成り込めないので△3七角成とこちらの桂を取る手もあるが、この形では▲2一飛成と成り込まれ、明らかに手負け。そこで、勢い△7七角成から先手玉に殺到したが、一手スキをかけ続けることが出来ず、▲4二とが間に合い、先手に一手スキがかかった時には後手玉が詰んでしまった。
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