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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年3月26日出題)

第342問(2012年3月25日 甲斐女流王位-上田女王戦)
(問342-1)
4月からのNHK杯、出場女流棋士決定戦。先手甲斐女流王位、後手上田女王で戦型は先手のゴキゲン中飛車に後手の居飛車穴熊。先手が6筋からの攻めを見せた直後に後手が動き、激しい終盤戦へ突入した。下図は4五の歩を取りながら、気持ちよく▲4五桂と跳ねたところ。実戦は、手抜きで▲7八飛成と攻め合いを目指したが、▲3三桂成からの攻めが一手早かったようだ。感想戦で示されたここでの受けの手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問342-2)
先手優勢の局面で、どのように指しても一手負けている感じは否めない。しかし、終盤では、一手でも間違えると逆転すると言ったプレッシャーをかける手が重要になることが多い。ここではどのようにプレッシャーをかけるのが良いか。後手上田女王の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問342-1解答)「先手で自陣を補強する受け」
問題図の局面、感想戦で指摘された手は△4四角。どうも▲3三桂成△同金の局面が薄く、攻められると早いということから、一旦は龍に当てながら▲3三桂成に△同角を用意しておいた方が良かったとのこと。他に△7三角も受け+反撃の一手として考えられ、これも感想戦で並べられた。いずれにしても手抜きでは攻め合い負けなので、一旦は角で補強するか催促するかしておくしかなかった。

(問342-2解答)「かわす+催促する受け」
ここでの一手は△4三金。本来「金は斜めに誘え」の格言があるように金を斜めに動くのは良くないことが多い。しかしここでは何もせずに▲3二銀成と取られては明らかに一手負けの上、△4三銀と補強するのも▲3二銀成から▲4二龍があって受けきれない。
そこで△4三金と上がって角に当てたのが、やむを得ない受けの勝負手。当然角を切って攻められるが、二枚の角に持ち駒を多く持てば、△8四角のような手が詰めろ龍取りになるようなこともあり、一手でも間違えれば逆転の可能性もある。

ただ本譜は、▲2二角成から▲4四銀と攻め、反撃手段にあうことなく、先手が後手玉を寄せきることに成功、甲斐女流王位がNHK杯への出場を決めた。
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