第343問(2012年4月8日 大石四段-稲葉五段戦) |
(問343-1) 今期NHK杯開幕戦は、先手大石四段対後手稲葉五段という若手同士の一戦。戦型は、横歩取りで、先手の大石四段が工夫を見せ、難しい中盤戦の駒組みが続いた。そして、後手が△8六歩と動いた瞬間、手抜きで角を切り、一気に激しい終盤戦へ。下図は今△8七歩成と8筋を破られたところ。ここで先手大石四段の指した一手は?▲2三龍△7八とからの攻め合いに勝てれば良いが、それで手負けになる時は一旦受けなければならない。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問343-2) 駒得を果たし△5五馬もいて後手優勢の局面。しかし今、▲3四角と4三の地点を狙い一手スキをかけられた。先手玉が詰まない以上受けるしかないが、ここではどのように受けるのが良いか。後手稲葉五段の指した次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問343-1解答)「金は引く手に好手あり」 この格言の意味する所とまったく同じという訳ではないが、▲7九金と引きながら、と金からかわしておくのが最も普通の受けでこの場合は仕方ない。▲2三龍と銀を取った手が詰めろであったり、▲5五桂や▲7四桂などの攻めが(持ち駒がもっとたくさんあって)厳しいのであれば手抜きで攻める手も考えたいが、さすがに△7八とより厳しい攻めはない。という訳で受けるならやはり▲7九金と引くよりなく、実戦も引いて以下△7八と▲同金△8九飛成と進んだ。 |
(問343-2解答)「数の攻めには数の受け」 ▲4三角成と成られては簡単に詰んでしまうので、ここを受けるしかなく、受けるとすれば△4二銀か△4二香と受けるのがもっとも普通。このように一ヶ所に利きを足してくる攻めには、同等の利きを足せば受かる理屈で受けの基本でもある。但し、受けに駒を使うと言うことは、攻め駒が不足する場合もあり、特に駒損している時にはじり貧を避ける為、節約することも多い。また、相手の駒が重複して重い場合は、△6一玉などの早逃げも有力な受けになる。 本譜はこの後、▲3五桂とさらに駒を足した手に△4四馬と受け、以下▲4五金△3四馬▲同金△5四銀と徹底して受けに回った。先手も懸命に食らいついたが攻め切ることが出来ず96手で後手の勝ちとなった。 |
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