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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年4月16日出題)

第344問(2012年4月15日 阿部(光)四段-牧野四段戦)
(問344-1)
先手阿部四段の角交換四間飛車に対し後手の牧野四段は△3五歩と位を取って駒組みを進めた。そして後手の△4五歩から△3六歩で戦いが始まり、先手は力強く▲5六金と形は悪いが歩得を生かす受けに出てやや指しやすくなった。
下図は角のにらみを生かして▲3五銀と馬にあてたところ。どこへ馬が逃げても次の▲3四歩が厳しい攻めになる。ここで指された後手牧野四段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問344-2)
後手の粘りある頑張りについに先手玉にも詰めろがかかった。後手玉が詰まない以上、△2七銀成の一手詰めを受けるしかないが、ここではどのように受けるのが良いか。先手阿部四段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問344-1解答)「元の駒を取る受け」
馬を逃げるのは▲3四歩が激痛でとても後手玉はもたない。こういう所では、その攻め駒の元となっている駒をさえぎるしかない。但し、この局面はさえぎることが出来ないので、△6六龍と龍を切って受けるしかなくなっている。
もちろん敵陣にいる龍は大きな駒で出来るなら切りたくはないが、それ以上にこの▲6六角の威力は大きく、他に適当な受けがなかったということだ。

(問344-2解答)「敵の駒に当てて受ける」
2七の地点を受ける手はいろいろあるが、▲2八金や▲3八金など持ち駒を節約して受けるのは、その(持ち駒の)金を使うことで相手玉に迫れる場合だ。しかもここでは、△4九角と足されると結局金を手放さなくてはならなくなる。
では、▲2八金打や▲3八金打ならどうか。節約する手に比べれば固くてしっかりとはしているが、先手になっていない。やはり受ける時でも先手になるなら先手を取れるように受けるのが基本となる。
と言うわけで、実戦の▲3七金がこの場合の受けの形。△同銀成なら▲同銀引と手順良く自陣が引き締まる。

本譜は△5八角と角をつないで、▲2八金の受けに△2二金打と後手も金を投入して受けに回った。その後、後手は馬を作り長くなるかと思われたが、その馬を消すと一転▲3三歩から攻勢に出て、後手の急襲を凌ぐと最後は即詰みに討ち取った。
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