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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年8月20日出題)

第362問(2012年8月19日 渡辺竜王-深浦九段戦)
(問362-1)
先手渡辺竜王、後手深浦九段で戦型は横歩取り。両者中住まいの形から仕掛けられないよう細心の注意を払って駒組みを続けていたが、飛車の横利きが止まった瞬間に後手から端攻めを敢行。△9七歩の垂らしに▲3五歩と飛車の横利きを通しつつ歩を突きだし、そして今△9六香と走ったところ。ここで先手渡辺竜王の指した次の一手は?
もちろんここで後手の手番ではあれば次は△9八歩成だ。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問362-2)
2筋に歩を打ってしまっている為、後手の攻めが単調で攻め合い負けの局面となっている。▲7四歩の取り込みに、王手しながら馬を6七へ引いたがこのまま攻めても先手玉は寄らない。そこでどうするか。ここで後手深浦九段の指した一手は?悪いながらも粘りのある一着。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問362-1解答)「飛車の横利きで攻め駒を攻める」
あえて級位者の人に。歩成りを受ける為だけに▲8八金と寄るような手は考えるに値しない。ただ、△9八歩成からの攻めより早く攻める手があれば攻め合いも考えられるところ。
本譜、渡辺竜王の指した一手は▲7五歩。7三の桂を狙いつつ、▲9六飛を見た何とも味の良い一着だ。これには返し技で△5四角と打ったが、▲9六飛△8七角成で一気に激しい終盤戦へ突入した。

(問362-2解答)「拠点の歩を払う馬引き」
7三の桂が取られそうなので、△6五桂と逃げながら攻めに使うという発想は悪くはない。しかし、それでも▲7三歩成が猛烈に厳しく、この攻め合いは先手に分がある。そこで深浦九段の指した一手は△8五馬。▲8三龍に△8二歩と継続手を放ち▲同龍△7四馬となり、この歩を払うことで粘りを見せた。

但し局面はすでに後手がかなり悪かったらしい。△7四馬に▲7二歩が速度計算を正確に計った冷静な一着。最後は豊富な持ち駒で後手玉を即詰みに討ち取った。
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