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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年8月27日出題)

第363問(2012年8月26日 鈴木(大)八段-谷川九段戦)
(問363-1)
先手鈴木大介八段、後手谷川九段で戦型は力戦中飛車対居飛車穴熊。お互いしっかり囲いあった後、▲9五角の飛び出しから▲6五歩で戦いが始まった。今、△4五歩の反撃を警戒し、▲2五桂と先に角に当てて桂を跳ねたところ。もちろん角は逃げるしかないが、上か下か、どのような考えでそちらに逃げるのかを問う。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問363-2)
最終盤、すでに先手必勝。今△5七歩成とギリギリのタイミングで利かせてきた。この利かしに利かされるべきかどうか。相手玉への迫り方の速度を考えて次の手を指すことになる。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問363-1解答)「大きな方針の分岐点」
△2四角と出れば、もう2五の桂を取ることは出来ない。その場合は、▲6五飛に△5五歩〜△4五歩と攻め合いにする。本譜は△4二角と引いたが、今度は△2四歩と突いて駒得を図る方針で指すことになる。
どちらが良いかは常にまわりの状況によるので、一概に正解は何とは言えない。ただ、感想戦で話されたように本譜は引いてからなかなか後手に良くなる状況にはならなかった。8九の桂を使う余裕が出来たのが大きく、後手としては穴熊の遠さを生かして攻め合いにすべきだったようだ。

(問363-2解答)「一手スキで迫るのか二手スキをかけるのか」
まず後手玉への迫り方。▲3三銀成から入り常に一手スキで寄せ切れれば△5七歩成の局面は”ゼ”なので手抜きが分かりやすい。しかし本譜は▲同金と払った。そして迫り方としては▲6一飛〜▲3三銀成と確実に二手スキ必死をかける方法だった。この場合は、△5七歩成〜△4七とと来られるよりは、△4五桂の一手が入っても、その方が安全との判断。

もちろんどちらでも勝ちなのだろうが、終盤は何があるか分からないのが将棋。少しでも安全な勝ち方、考え方が分かった方が勝率は上がる。本譜▲5七同金の後は、△4五桂に▲6一飛で次の▲3三銀成の必死が受からず、またそれより早い攻めもなくこの時点で後手の投了となった。
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