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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年9月17日出題)

第366問(2012年9月16日 豊島七段-畠山(鎮)七段戦)
(問366-1)
先手豊島七段、後手畠山七段で戦型は角換わり腰掛け銀。▲7五歩に△6四角と自陣角を打ち、▲7四歩から一気に難しい戦いに突入した。下図は7二で当たっていた飛車を△8二飛と一つ寄ったところ。目に付く▲6四馬は△6二飛と回られ▲9一馬と香は取れるが、△7五桂が厳しく先手が大変そう。そこで、この局面で指された先手の次の一手は何か?△7五桂を受けるのに工夫した手順とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問366-2)
▲1一馬と香を取られ、現在は後手の香損だが、駒の働きや玉形の差を見ると局面は難解。ここで後手畠山七段の指した次の一手は?これも攻めと受け、両方を見据えた渋い一着。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問366-1解答)「先手で攻めの一手を入れる」
終盤は単に受けるだけというのは価値が低い。しかし△7五桂が厳しいのでここは仕方なく▲7六歩くらいかと思っていたが、実戦は▲2五歩の合わせ歩。これが巧妙だった。△同歩なら▲同飛が十字飛車。実戦は以下△5四銀に▲7四馬と進み自然に△7五桂を消すことに成功。単に▲7六歩と打った局面に比べれば、▲2五歩が一本入ったことになり、これは大きな一着だった。

(問366-2解答)「相手のキズを残す受け」
飛車が成れるので、喜んで△4九飛成と成り込みそうだが、▲5九金と打たれると先手を取られながら、△6九角のキズを消されてしまう。そこで単に△4一飛と引いた手が何とも渋い一着。▲6六馬と引かせ、△6九角のキズを見ながらこの角を目標に攻める構想が秀逸だった。

本譜はそれでもどちらが勝っているのか分からないような終盤戦が続いたが、端玉には端歩の格言がピッタリする一着が出て、後手が先手玉を寄せきることに成功した。
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