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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年1月14日出題)

第382問(2013年1月13日 中村太地六段-渡辺竜王戦)
(問382-1)
先手中村六段、後手渡辺竜王で戦型は角換わり腰掛け銀。千日手含みで待たれる後手に、6筋4筋をからめて仕掛けた先手だったが、反撃されると逆に苦戦に陥った。下図は金銀両取りをかけられ決まったかと思われる局面。ここからも先手の中村六段は粘り強く指しこの将棋は長くなった。ここで先手の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問382-2)
先手に粘り強く指され、駒割りも角と金香の二枚替えでほとんど変わらない。今、▲8一龍と桂を取りながら一段目にすり込んだ所。▲3一銀は狙いの一つだが、すぐに打っても△1三玉でまだ寄りはない。ここで指された後手渡辺竜王の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問382-1解答)「両取り逃げるべからず」
図はまさにこの格言がピッタリするような局面。両取りをかけられた場合、基本は駒の価値の高い方を逃がす。そしてそれが同じくらいであれば、玉に近い守り駒を受ける方が多い。
しかしここで中村六段の指した一手は▲4一角。△6八飛成なら▲7八金打と先手ではじける。また、本譜もそうなったが、△4四飛成には△5二角打とつなぎ、△4二金▲7四角成△4一金▲9二馬と進み、玉頭方面の脅威を取り除いてもう一踏ん張りという局面になった。

(問382-2解答)「金底の歩岩より固し」
美濃の金がつり上げられた局面というのは実戦でも良く現れるが、△4一歩が固い守りになる。通常▲3一銀と打たれてはダメなので守る訳だが、この歩の意味合いはやや違う。後手の持ち駒が角二枚なので、攻める時この角を切ることになりやすい(本譜も実際切っている)。そして△4一歩と受けていないと(角を渡すと)▲3一角一発で終わってしまうと言う訳。

本譜は△4一歩に先手も▲6九歩と金底の歩を打って粘りに出た。そして最終盤は、一手間違えれば脱出が可能になる所まで行ったが、最後は▲9八玉の状態で必死をかけられてしまった。
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