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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年9月30日出題)

第417問(2013年9月29日 豊島七段-佐藤康光九段戦)
(問417-1)
先手豊島七段、後手佐藤康光九段で戦型は後手の角交換ダイレクト向かい飛車。これに先手も妥協せず▲6五角を打ち、最新研究勝負でありながらも手将棋の様相のまま進行していった。
下図はまだ中盤。お互い相手の攻めを警戒しつつどこから手を付けるか考えているところ。ここで後手佐藤九段の指した一手は?先手の主要な攻め筋を未然に受けておく一手で、有段者ならこう指しておきたいと思わせる一手でもある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問417-2)
上図から玉頭で戦いになり、一旦は後手がうまくやったかに見えたが、それを凌ぐと、的確な反撃で後手玉に迫った。下図は最終盤。銀一枚では後手玉は詰まない。しかし現段階で先手玉は△6七角からの三手詰。将棋の終盤では頻繁に生じる先手後手の関係だ。ここで先手豊島七段の指した一手は?勝つための手は必ずしも一つとは限らないが、やはり有段者ならこう指したいと思う一着。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問417-1解答)「当たりを未然に受けておく手」
ここで、先手の攻め筋の一つは、▲7五歩△同歩▲7四歩△同銀に▲5六角と両銀取りに打つ手。この▲5六角を中心に攻め筋を組み立てることが現状では一番考えられる手段だ。
そこで佐藤九段はその筋を受けつつ△4三銀と引いて駒組みを進めた。もちろん▲5六角ですぐ手になるなら、▲3四歩という一歩で一手を稼ぐ手があるので△4三銀は悪手になる。
現状▲5六角はすぐに手にはならないが、このように将来の攻められる筋を消しておくのは、駒組みを進める上で大切なことである。
本譜は、▲8九飛に△9四角と打ち、▲8五歩と意外な所から戦いが始まった。

(問417-2解答)「相手-受けなし二手スキ(の時は)、自玉-詰めろをほどく」
終盤の考え方はある意味単純だ。(自分の手番で)相手玉が詰むなら詰ませて勝ち。詰めろ(一手スキ)しかかからないなら、自玉が詰まなければ勝ち。二手スキしかかからなければ自玉の一手スキを外して勝ちということ。
この局面の後手玉は詰まず、▲7三歩成と成って一手スキ(必死)。しかし先手玉が先に詰んでしまうので、その詰めろを防がなければならない。
詰めろの防ぎ方はいろいろあるが、▲4九玉の早逃げがもっとも普通。これで駒を渡さずに詰めろをかけ続けられれば後手の勝ちだが、△5七歩成も▲4七角が生きてしまうため後手玉が詰んでしまう。

結局本譜は、後手玉は手を伸ばすことが出来ず、先手玉に迫ることも出来なかった為、この後数手で後手の投了となった。
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