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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年10月21日出題)

第420問(2013年10月20日 谷川九段-西川四段戦)
(問420-1)
先手谷川九段、後手西川四段で戦型は後手の角道を止めた中飛車。その後、後手が三間に飛車を振ると、先手は穴熊に囲って駒組みは進んだ。戦いがはじまったのは意外な8筋。先手は桂得だが歩切れという状態で形勢は難しいかと思われたが、一歩を補充するとやや指せそうな展開に。しかし、後手が銀捨ての強烈な勝負手を放つと形勢は混沌。どちらが勝っているか分からない難解な終盤戦へと突入した。下図はその終盤。今、△5七銀不成と飛車を取ったところ。この局面、一見斜め駒がない為、先手玉は詰まないように見えるが、△3八飛成と王手されると▲9七玉と逃げても△8五桂▲同金△8七金▲同玉△8八飛と言う手があり詰んでしまう。ここで谷川九段の指した一手は?この筋を受けながら、単に受けるだけの手ではない、と言えばやさしいだろう。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問420-2)
上図から十数手後の局面。先手玉の詰めろを消し、後手玉に詰めろを掛け続ければ良いので、先手の勝ちになったかと思われたが、あるいはここへ至る手順に間違いがあるのかもしれない。今、▲5二銀打としばり、次に▲6三銀左成△7一玉▲7二成銀までの詰みを見ている。また、先手玉は△8八銀と王手されても▲同角とこの角が利いている限り詰まない。
そこで後手西川四段の指した一手は?この詰み筋を最も安全にする受けの手とは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問420-1解答)「王手で詰めろを消す」
単に詰めろを消すだけなら▲5七角と銀を取っておいても詰めろは消える。しかし△5八飛はあるし、▲8四角がいなくなると後手玉に詰めろすらかからなくなりそうだ。
そこで谷川九段の指した一手は▲5五角。王手で8八に利かした何とも味の良い一着。実戦△7三桂の受けには、▲6一銀と詰めろをかけて先手が手勝ちに見えたが、後手も最強に受けて難しかった。

(問420-2解答)「詰み筋の先を見据えた受け」
△5四銀と受けても、詰みは防げる。しかし、▲7一銀不成△同玉▲5三角成△8二玉▲7一馬に△9二玉と逃げるよりなく、もし持ち駒の金が銀に変わった瞬間後手玉は詰んでしまう。またこのように追われると一手の余裕もない(▲7二銀不成が来る)。
そこでこの筋を受けたのが△5四角。▲6三銀左成から精算されると角は取られるが、やはり▲4四角が動いた瞬間、先手玉は詰むので後手玉は寄らない。

本譜は、この後▲7一銀不成から同じように▲5三角成と迫ったが、やはり△5四角が良く利いており後手玉に寄せはなく、最後は△8八銀を見て先手の投了となった。
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