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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年12月9日出題)

第427問(2013年12月8日 広瀬七段-村山六段戦)
(問427-1)
先手広瀬七段、後手村山六段で戦型は一手損の角換わり腰掛け銀。先手が仕掛け、後手がこれに反撃して全面的な戦いに入った。形勢は非常に難しく、どちらが良いのか分からない状況のまま終盤戦へ突入した。
今、▲6二角成と飛車を取り、△同金となったところ。△2六角が▲4八の飛車に当たっている為、先手はこれをどうにかしなければいけない。ここで指された先手広瀬七段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問427-2)
終盤に入ってからも熱戦は続いた。形勢についても二転三転したようにも見えるが、下図▲5五桂と打ったところは、先手の攻めの方が一手早そうに見える。ここで後手村山六段の指した一手は?▲4三桂成△同金右▲2三歩成の筋を受ける自然な一手だ。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問427-1解答)「端に逃げる飛車」
「終盤は、攻めでも受けでも先手を取ることが重要」と良く書いているが、一見先手のようでも、結局後手になってしまうことも良くある。▲2八飛と角取りに当てて逃げたいが、△3七角成と当て返された時、▲2三歩成などが利くかどうか(その時飛車を取られても攻めきれるかどうか)考えなければならない。そうした手が無理だった場合は、後手になっても単に逃げておく手が正解となる。
ここで広瀬七段の指した一手は▲1八飛。後手で逃げるならこのように一番端に逃げておくのが、後々飛車をいじめられることが少なく、それでいて受けにも利いているので良い場所になる。ただ、もし攻め(縦)にも使える可能性があるなら、攻防に使える手を考える事は重要だ。

(問427-2解答)「大駒を遮断する歩」
▲5五桂は急所で、次に▲4三桂成から▲2三歩成と攻められると攻め合いは後手が負けそうだ。そこで、村山六段の指した一手は△5四歩。角道を遮断すると同時に桂取りの催促になっている。このような手は、受ける時の当然の一着で、初心者の人にも指してもらいたい一手でもある。▲4三桂成△同金右の形がかなりしっかりしているという風に見えるだろう。
ただ、この局面は4筋に歩も利くため、再度の▲5五桂という強引にこじ開ける手があり、その攻めが通ってしまったようだ。

本譜は最後の最後、後手陣にやさしい7手詰という局面が生じたが、何とこれを広瀬七段が逃し、この熱戦は後手の村山六段が大逆転で勝利した。
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