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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年3月17日出題)

第441問(2014年3月16日 香川女流王将-甲斐女流王位・倉敷藤花戦)
(問441-1)
今回は、来期のNHK杯に出る為の女流枠の一戦。先手香川女流王将、後手甲斐女流王位・倉敷藤花で出だしは先手の石田流だった。これに△5四歩から後手も振り飛車を選択し、先手三間飛車対後手向かい飛車という相振り飛車になった。
手将棋模様の中盤、先に仕掛けたのは後手。飛車切りの強襲が成立しているかどうか、下図はその直後で今▲4四歩と突きだしたところ。ここで後手、甲斐女流王位・倉敷藤花の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問441-2)
後手からの攻めがやや無理だったか、先手が徐々に優勢になり下図。それでも△6五馬と引いてこの局面は飛車に当たっていて忙しい。そこでこの飛車をどうするか。ここでは有段者ならひと目の手があるが、自玉を見ながらその手を考えて欲しい。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問441-1解答)「歩成りは受ける一手」
「5三のと金に負けなし」という格言があるように、玉の近くの三段目にと金を作られては多くの場合まずい。ここでも▲4三歩成は許せないので(歩がないので)△4二香と受ける一手。なお、△4一香と△4二香との違いはここでは難しくどちらも正解にしたい。細かいことを言えば、△4一ならダイレクトに飛車をさえぎっているが、将来▲1二飛成と成った時は△4二の方がさえぎっていることになり、また△4一歩の余地も残す。実戦では、よりどちらかの方が良いということが多いので、その局面ごとに考える事になる。

(問441-2解答)「終盤の読み」
飛車に当たっているからと、▲7九飛など単に逃げるのでは勝機を失う。また▲5一飛成△同玉▲7二飛成や逆に▲7二飛成△同玉▲5一飛成は考え方としては良いが、この局面では△3八金▲5九玉△4九飛まで詰まされてしまう。
そこで実戦の▲5二金が勝利を確定した決定打。逃げるのは▲5一飛成から▲7一銀で詰みなので、△同玉と取るが、当たっていた飛車を▲7二飛成と王手しながら逃げられて必勝になった。

本譜は、後手の粘りに、さらに角を捨てる強手を放ち、長手数の詰みを華麗に詰めて香川女流王将が来期NHK杯出場を決めた。
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