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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年5月19日出題)

第449問(2014年5月18日 山崎八段-有森七段戦)
(問449-1)
先手山崎八段、後手有森七段で戦型は相掛かり戦。先手が銀を繰り出すと、後手は△8五飛とこの位置で応戦。▲7六歩に△7五歩と突いて戦いが始まった。その後、巧みな順で先手が▲5三に馬を作ることに成功。ポイントを上げ、下図はさらに▲2四歩とその攻撃中。ここで後手有森七段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問449-2)
先手の猛攻を受け止め、途中はやや怪しくなったかと思われたが、下図の局面は、後手が足りなそうに見える。しかし、△4六桂と王手されているので、この応手を誤ると再び逆転されてしまう。ここで指された先手山崎八段の次の三手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問449-1解答)「玉の側の馬を追う」
この局面以前にも馬を追い払う場面はあったのだが、そのタイミングは難しい(早すぎると、「馬は自陣に」となって、相手の陣形が固くなってしまう)。▲2四歩は次の▲2三歩成は厳しいので、△2四同歩と取るのは自然だが、▲同飛と飛車交換を迫られても(解説で)、▲4四歩と筋の歩を突かれても(感想戦で)、寄せ切られてしまうかもしれない。
そこで、ここで△4二銀と馬に当てたのが当然とはいえ必要な一着。これで▲8六馬と馬を退却させてから△2四歩と手を戻し、次の攻撃に備えることになった。

(問449-2解答)「飛車を取らせる読み筋」
実戦、次の三手は、▲4七玉△3八銀▲3六玉と進んだ。▲4六桂の王手に対し、「玉は下段に落とせ」の格言通り自ら下段に落ちるのは寄せられやすいので、普通は▲4八玉か▲4七玉。本譜の▲4七玉はいきなり王手飛車が見えるので考えづらいが、▲4八玉は同じように△3八銀と詰めろをかけられた時、飛車は王手で逃げられるが、相手玉が詰まないなら結局は受けなければならない。
さらに△3八銀に対しても▲3六玉ではすぐに飛車を取られてしまうので、▲4六玉と王手で取られない手をまず考える方が自然。実戦のようにいきなり「王手飛車-飛車を王手で取られる手」というのは、これが好手になることは少ないものの、△2七銀不成▲同玉の局面が、飛金では寄らないと見た読みがすばらしかった。

本譜は、終局直後、山崎八段が(おかしな攻めをしてしまい)「逆転してましたよね?」と言っていたように、かなり際どい終盤戦になったが、最後は先手が▲5四銀と上部を押さえて勝利した。
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