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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年5月26日出題)

第450問(2014年5月25日 渡辺大夢四段-藤井九段戦)
(問450-1)
先手渡辺大夢四段、後手藤井九段で戦型は本家の四間飛車、藤井システム。これに△6四歩を狙い▲5五角と出たが、やや駒組みが中途半端な一瞬を突かれ後手の藤井九段が仕掛けた。この仕掛けが機敏で後手優勢、先手がまとめるのは相当大変に見えたが、(解説の師匠、石田九段の話では)”持ち前のしぶとい粘り”で急追。下図はその終盤でかなり怪しい雰囲気は漂っている。そして今△9五歩と突かれたところ。ここで指された先手渡辺四段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問450-2)
上図から11手後。後手は△5二の角と△6一の銀を取られてしまったが、先手の要の▲7八金も先手で取って薄くしている。ここで後手藤井九段の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問450-1解答)「空間を空ける犠打」
ここで▲8五桂と跳ねた手がしぶとい一着だった。端攻めに関しては、その局面により正しい応対が変わるので難しいが、相手が桂や歩を何枚も持っている時は、取るとかえって攻め足が早くなると覚えておきたい。と言っても、この局面、攻めるのは駒不足で、ゆっくりしていると端の取り込みはやはり厳しい。
と言うわけで、8五には角が利いていても空間を空ける為にここに桂を跳ねて捨てたのが本譜(打ち捨てたのではないので正確には「犠打」ではないが似たような意味)。△同角と取らせることで、△9六歩を甘くし、また▲5一金と打って寄り付いて行く手も見ている。

(問450-2解答)「一手前に受ける」
攻めるなら筋の△7七歩や△7三桂打、さらに攻防に見える△4六馬などあるが、実は△3五の銀はそれほど大事な駒ではない。むしろ▲4一龍と一間龍に迫られる手が普通に厳しい。
そこで、藤井九段の指した一手は、一手前に受ける△5一金。これで横から攻められる手をなくし、▲3五龍に△7七歩から△7三桂打と攻めに回ることが出来た。

本譜は、この後も大熱戦になった。一瞬逆転したのかと思われる所もあったが、最後は藤井九段が難解な詰みを詰め切り勝利。それにしても感想戦がなくて本当に残念と思ったのは久々でそれほど終盤は形勢がどうだったのか分からない熱戦だった。
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