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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年6月30日出題)

第455問(2014年6月29日 菅井五段-ア六段戦)
(問455-1)
先手菅井五段、後手ア六段で戦型は後手の角交換振り飛車。四間飛車から向かい飛車に振り直し、△3三銀から△2四歩と仕掛けていった。その後、局面は一旦収まったが、先手が穴熊に組み替え、一気のさばきを目指すと後手陣はバラバラで先手の攻めが決まったかに見えた。そして下図。▲2四桂と銀を取った所でこの瞬間は二枚替え。しかし、▲2四桂を取れば二枚替えではなくなるし、なにより先手の▲3七銀が遊んでいるのも大きい。ここで指された後手ア六段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問455-2)
急追する後手が、馬を切って今△8五桂と打ったところ。この桂は、金取りというよりはむしろ端に力をためた手でもある。ここで先手菅井五段の指した手は?その手に対する応手も難しいが、実戦で進行した次の三手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問455-1解答)「馬は自陣に」
駒を取られたらすぐ取り返す。△2四同飛と桂を取っておくのは、ある意味自然な一着でもある。しかし、何か駒に当たっている訳でもないし、何より▲3三歩成と来てから△2四飛と取れる局面でもある。
そこでその一手を使って△7四角成と成り返ったのが本譜。「馬は自陣に」の格言通り、自陣に引きつけた馬は手厚い。また、▲6四の歩を払う手と端攻め、両方を含みにした手でもあり味の良い一着だ。


(問455-2解答)「駒の損得より安全度」
ここで先手の指した手は▲8六金。これは金を逃げたと言うより、端攻めを緩和した手である。そして後手の手は△7六銀と桂にヒモを付ける手。これも△9七から殺到しても届かないと見ての自重でしぶとい一着だったが、さらに▲8五金と桂を食いちぎった手が勝ちを確信した一着。
以下△同銀と進んだ局面は後手からの攻めが遠のき、▲4一角が非常に厳しい一着となった。

本譜は、後手に急追され、一時形勢は混沌としたが、(感想戦によると)逆転までには至らなかったようで、最後は先手の菅井五段が本に出るような基本の必死をかけて勝利した。
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