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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年7月7日出題)

第456問(2014年7月6日 増田六段-阿久津八段戦)
(問456-1)
先手増田六段、後手阿久津八段で戦型は相矢倉。但し、双方序盤から飛車先をなかなか突かない手将棋模様の矢倉戦。そして、離れ駒のある状態で先手は意表の仕掛けを敢行、これに後手の阿久津八段が反撃し戦いが進んだ。
今、△4四銀に▲2四歩と突いたところ。初心者向けの問題ではあるがここではどのように指すのが良いか?後手阿久津八段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問456-2)
先手の増田六段が、自玉の側の銀取りを手抜くという驚愕の攻めを見せて、その銀を今△7七歩成と取られたところ。ここは王手なので、何かで取る一手だが、どの駒で取るのを読みにしているのか?ここで指された先手増田六段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問456-1解答)「駒得より自玉の安定」
駒の動かし方を覚えた後は駒の価値を覚え、駒損しないように駒得をしていくようにと考えていくのが将棋の基本。しかし、初心者を脱するには駒の価値より大事な局面の判断もあるということを知っておく必要がある。
ここでは、△2四同歩と取っておくのがほぼ絶対の一手。△3五銀と角を取れば駒得にはなるが、▲2三歩成△同金▲3五銀で、角銀交換の駒得でも▲2六の銀を使われ、どんどん攻め込まれ寄せ切られてしまう。
△2四同歩は、「利かされ」ではあるが、この場合は仕方のない当然の一手として指せるようになって欲しい。


(問456-2解答)「安い駒から取らせる」
△7七のと金を取る手には4通りある。そして左下の部分図だけを見れば、(玉以外は)何でもありそうだ。しかし、盤面全体を見るとここではほぼ▲同桂の一手と言える。
つまりこの局面は、一手を争う攻め合いに突入しているということ。初心者のうちは特に駒落ちで桂を歩で殺されることは良くあると思う。しかし、級が進むにつれ、その歩が間に合わない局面もあることを知ることになる。
ここでも▲7七桂と桂で取ると△7六歩と歩で取られることになるが、その一手を攻めに使えるということ。つまり、駒を犠牲に手を稼ぐ。そして犠牲にするなら一番安い駒にしておくのが最も良いということだ。

実戦は、△7六歩は間に合わないので、後手も△6九銀とより早い手を選んで先手玉を攻めた。その本譜は最終盤、非常に難解な「詰むや詰まざるや」の局面が生じた。結局、この将棋は後手のとん死という形で終局したが、とん死を逃れたとしても後手が勝っていたかどうかは微妙。戻って、終盤の入り口で△7六歩という銀取りを手抜きし▲3四銀打と攻めた勝負手が功を奏した格好で先手の増田六段が勝ち上がった。
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