第478問(2014年12月7日 佐々木勇気五段-大石六段戦) |
(問478-1) 先手佐々木五段、後手大石六段で戦型は先手の石田流対後手の居飛車穴熊。但し、後手は飛車先を突くのではなく、最近はやりの中飛車に振って対抗した。そして戦いはその中央から。角を交換し、お互い角を打ち合う難しい将棋。 下図、今△8七にいた馬を▲9六角で消されたものの今度は△8八角と打ったところ。この手の狙いは主に二つ。一つは香取りともう一つは△5五桂からの殺到。これを読んでここではどう指すのが良いか。やや苦しそうに見える先手だが、ここで佐々木五段の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問478-2) 後手の攻め、先手の受けが延々と続いている。つながるか切れるがギリギリだった後手の攻めだが、途中は明らかに良さそうなところもあった。そして下図、今▲5五歩に△同飛と飛車で取ったところ。振り返れば、この辺りで形勢が逆転したとも思えるところ。ここで指された先手佐々木五段の指した一手は?「△4六の角がいなくなれば△5五の飛車に利きがなくなる」というヒントがあれば難しくはないかもしれない。 |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問478-1解答)「香を逃がす勝負手」 部分的に、桂や香を逃がしておく手というのは実際に出てくる。ただそれは、そうすることで相手にそれ以上の有効な手がないと思われる時。ここでは△5五桂からの殺到も相当で、まずこれを凌げるかどうか読まなければならない。そうしないと、香を逃がす手は敗着にすらなってしまうので注意が必要だ。 本譜の▲9八香はそういう意味で受けの勝負手。しかしその読みを信用したか、大石六段は桂を跳ねず、△5七歩の細工。これに▲6四角とこの筋を受け、先手のピンチは一旦は脱した。そしてこの後も、細かいやりとりが続いた。 |
(問478-2解答)「攻め駒を攻める自陣飛車」 ▲5五角と飛車を取るのでは、△同角で穴熊が遠い。ここで佐々木五段の指した一手は▲3六飛と角取りに打つ手。これが急所で、後手の攻めが一気に細くなった。と言うのも、この局面、角は逃げられない為、以下は一本道で△5七香成▲4六飛△5八成香▲5五角△4九成香▲同銀と進むことになり、後手は拠点のないまま金銀桂で攻めるよりなくなったからだ。 本譜はそれでも執拗に先手玉に食い付き、ちょっとでも間違えると逆転の味を含んでいた。しかし最後まで丁寧に読み進めた先手が、後手玉に必死をかけて辛抱の受けが実る一局となった。 この一戦、解説は中村太地六段でその解説も的確。後手の切れそうな攻めをギリギリでつなげる技、そしてそれを巧みに受ける技。まさに一手指した方がよく見えるという将棋で、(まだ残っているけれども)本年度NHK杯戦ベスト3に入る熱戦、名局だったと思う。 |
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