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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年2月2日出題)

第485問(2015年2月1日 佐々木勇気五段-行方八段戦)
(問485-1)
先手佐々木五段、後手行方八段で戦型は角換わり腰掛け銀。先手が研究の仕掛けを敢行すると、後手も強く反発し、一手一手の難しい中盤戦から終盤戦へと進んで行った。
下図は、▲5五角と打った手に対し、一本△7六歩を利かせたところ。現在、△7三の飛車取りになっていると同時に▲4四飛からの攻めも見られている。そこで、ここで後手の行方八段はどのような手を指したか?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問485-2)
▲3四桂と王手で跳ねた桂も厳しいが、△3八飛と金取りに打った飛車も厳しい。今、▲1三歩と一本王手を利かし、△同銀とさせたが、依然△6八飛成は残っている。
そこで、この金取りはどのように防ぐのが良いか。実戦も指された手で、もっとも普通に受けるとしたら何か。金を持っていれば、▲7八金打としっかり受けたい所なのだが、その金はない。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問485-1解答)「急所の大駒に働きかける」
飛車取りなので逃げる手を読むのは自然だが、▲7三角成と飛車を取られれば△4五歩と後手も取り返せる。そこで飛車を逃げない手も考えられるが代わりの手が難しい。また、何もしないと▲4四飛と間接王手で攻められる手も厳しい。
そこで行方八段の指した一手は△5四銀。飛車を取ってくれと言っている訳で、そう進めば△4五歩で後手も飛車を取り返せるし、もう一つの攻め筋▲4四飛には△5五銀がある。

本譜は△5四銀で先手が困ったかに見えたが、▲4六桂がさらなる返し技。△4五銀に▲同桂で、飛車取りの状態のまま局面は進んで行き、一手争いの終盤戦となった。


(問485-2解答)「金底の歩、岩より固し」
この局面は、格言で言うほど固くはないが、それでも一歩で金取りを防げるのは大きい。また、▲5八銀と打つとしっかりしているように見えるが、やはり△6七銀があるので銀を投入する価値がない。

本譜も後手の継続手は△6七銀。これに先手は▲1四歩と打って終盤の大詰めを迎えた。そして直後、△7九角に▲7七玉と上がってしまったため△6八角成から長手数で先手玉は詰んでしまい、後手の行方八段の勝利となった。感想戦での開口一番「▲9八玉と寄っていれば」と言うことで検討されたが、(感想戦中は)駒を渡さないうまい詰めろが先手玉にかからず、先手の勝ち筋だった可能性もあるということだった。
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