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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年2月9日出題)

第486問(2015年2月8日 森内九段-菅井五段戦)
(問486-1)
先手森内九段、後手菅井五段で戦型は相矢倉。先手の3手目まで先に飛車先を突いた手が生きた格好で、手得をして中盤からの戦いに入って行った。
そして下図。後手の端攻めで銀香交換が行われ、▲8六歩の受けに△8五歩▲同歩を利かせたところ。ここで攻めだけを見れば桂を跳ねるのが普通だが、単純では行かないと見て、少し緩やかな手で手を渡した。ここで指された後手菅井五段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問486-2)
後手は△8四歩というあまり見ない継ぎ歩を敢行。銀損になっても飛角が玉頭に利いてきて、(先手にとって)△8五歩と一歩前進した歩は脅威だ。次に△8六歩や△8六香を見られているが、ここではどのようにその攻めを緩和するのが良いか。先手森内九段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問486-1解答)「大駒を押さえ込む金」
ここで△5四金と出たのが力強い一着。▲5五角を未然に防ぎ、△4五金も狙っている。ただ、一枚の金が離れることにより自陣は弱体化するので、できればこのような手は指したくはない。この金によって、角出は押さえられたが、先手にとっても攻め合いの見込める局面となっていった。

本譜は一本▲2四歩を利かし、▲9六歩と駒得を主張。先手がやや良さそうなものの、後手もピッタリと追走し、難解な寄せ合いに突入した。


(問486-2解答)「飛車筋を変える歩」
「歩が切れたら、常にその筋に歩を打てないか考える」とは良く級位者の人に言うことではあるが、ここでも飛車頭を叩くのが第一感。△同飛と取らせれば飛車の横利きが消えるので、後手玉への攻めの速度が格段に違い、本譜のように△9二飛と逃げてくれれば、この一歩の利かしは非常に大きく、それだけで自陣への脅威が薄れる。

本譜は、明解な先手の一手勝ちかとも思われたが、菅井五段の凌ぎに一時は後手玉が寄るかどうか微妙になったかに見えた。しかし最後はきっちり後手玉を寄せ切り、先手の森内九段が勝利した。
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