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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年2月16日出題)

第487問(2015年2月15日 金井五段-橋本八段戦)
(問487-1)
先手金井五段、後手橋本八段で戦型は後手の角交換四間飛車。後手が△3四銀〜△3三桂から△2五銀と一歩をかすめ取る間、先手は位取りを目指し、後手の一歩得対先手の厚みという構図になった。
その後、細かい動きで後手はさらに歩得を果たし、やや指しやすい局面に。下図はその中盤。後手は歩得をしているが、陣形はバラバラ。手を作られると先手陣の固さが生きてしまいあっという間に逆転しそうな局面でもある。今、△2四飛を防いで、▲2八飛と回った所だが、ここで後手橋本八段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問487-2)
終盤に入り、後手は3筋に馬を作りこの地点は手厚い。そして、(△6四にいる銀に)▲6五銀右とぶつけた手に対し△7三銀と角取りに銀を引き、▲7三同角成と角を切ったところ。王手なので取るしかないが、ここでは何で取った方が良いのか。二択なので問題にすると簡単ではあるが、その考え方を。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問487-1解答)「引きつける銀」
「金は引く手に好手あり」と言うが、銀の場合でも、引きつけながら陣形を守る手というのは味の良いことが多い。ここでも橋本八段の指した△5二銀左が△5三の地点を守りながら、離れ駒である△6一金と△6三銀の両方にヒモを付けた何とも味の良い一着だった。陣形そのものは先手陣ほど固くはないが、この一着で、その連携の良さと歩得で後手の指しやすさがはっきりしてきた。

本譜は、△4六歩からの攻めを見せられた先手が、後手の玉頭に嫌みを付けて勝負に持っていこうとしたが、丁寧に面倒を見られてその差はなかなか縮まらなかった。

(問487-2解答)「玉の安全地帯」
たとえば△8三に銀や△7二金など陣形自体がしっかりしているなら、まず△7三同桂と桂で取っておいて問題はないし、むしろそれが自然だ。しかしこの場合は、アマでも有段者ならまず△同玉と取ると思う。後手のこの陣形で、一番危険なのが7、8筋。逆に安全なのが、5筋より左だ。金銀馬を玉の側へ寄せるのではなく、玉が金銀馬の方へ近づく方が何手も早い。△7三から△6二〜△5三〜△4二玉と逃げてくれば、先手の攻め駒(▲6五銀や▲7七桂)から離れるし、銀一枚では何も出来ない。

本譜は、「王手は追う手」にならないよう、先手も△6二玉に王手をかけず、▲8二歩から駒を補充。▲5四香から▲6四桂と包むように寄せたが、△4七歩成からのと金が一手早く、後手橋本八段の完勝譜が出来上がった。
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