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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年5月18日出題)

第499問(2015年5月17日 丸山九段-宮田六段戦)
(問499-1)
先手丸山九段、後手宮田六段で戦型は角換わり腰掛け銀。後手の趣向で先手後手ともに4筋(6筋)の位を取り合うやや珍しい形となった。そして金を繰り出してきた後手に対し、角切りの強襲で後手陣に襲いかかり一気に終盤戦へと進んだ。
今▲7二銀成と成った局面は、飛角両取りだ。ここで後手宮田六段の指した一手は?こういう両取りの場面での一つの考え方はどのようなものか?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問499-2)
△2八金と(▲2九にいた)飛車を追う手が利き、先手の攻めを凌げそうな目星が付いて来たところ。とはいえ、後手陣も形は悪くまだ安全とは言えない。ここで後手宮田六段の指した一手は?後手の玉周辺を見て、是非指しておきたいと思う一着は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問499-1解答)「両取り逃げるべからず」
この格言はここでも何度か出して来た。実戦では、明らかに大切な駒を逃がす局面の方がはるかに多い訳だが、現実に両取りを逃げずに他の有効な手を指す事もよくある。ここでも飛角をそのままに△2六銀と飛車取りに打つのが強烈な一着。▲同飛なら△3七角成と飛車取りで角を逃がし、さらに▲2六の飛車が逃げれば△8一の飛車も逃げられ、どちらも取られずに済む。

本譜は、△2六銀にこれを取らず▲2九飛と引いた為、△3七角成▲8一成銀と進んだ。結果として△7三の角を逃がし、△8一の飛車を取られることにはなったが、たとえば△8四角など単に角を逃がした場合に比べれば、馬を作りつつ敵陣に成れた訳で雲泥の差だ。なお、△3八銀とこちらから飛車取りに打つのは、▲1七飛と逃げられると角が△3七に成り込めないので注意。

(問499-2解答)「玉の早逃げ八手の得」
ここで後手の次の一手は△2四玉の早逃げ。実際には次にすぐ詰むわけではないのだが、このままでは▲2五歩や金駒を取られて▲2五へ打たれると急に受けがなくなってしまう危険がある。しかも△2四玉と出ることで△2二の角が遠く△7七、△8八まで利いてくることになり非常に味の良い早逃げとも言える。

本譜はその後、何とか後手玉の入玉を阻止しようと試みたが、▲6九の飛車を攻められと先手陣も非常に弱く、結果的にこの飛車を取られ、あっという間に受けがなくなり後手の宮田六段が勝利した。
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