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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年9月21日出題)

第517問(2015年9月20日 菅井六段-村山七段戦)
(問517-1)
先手菅井六段、後手村山七段で戦型は先手中飛車対居飛車超速。但し、後手は角道を開けないまま仕掛ける趣向を見せ、両者研究範囲か、早い勢いで中盤戦が進行した。その中盤で、後手は美濃の端を詰めるポイントを上げ、代わりに先手は左銀をさばいた。しかし下図のように▲7七の金が取り残されやや不本意な展開になったのかもしれない。それでも難しい形勢のまま終盤に入り、今、▲5二歩△同歩と利かせたところ。本来ならすぐにでも飛車を下ろし、二枚飛車で攻めたいが、△3五桂や△4六歩の反撃も厳しい。そこで一連のうまい手筋を使い、この筋を先手で受けた。ここで指された先手菅井六段の指した次の五手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問517-2)
上図からキズを消し、先手が好調に攻めたように見えたが、後手も巧みに粘り、△3五桂が入ると形勢逆転、後手の一手勝ち出来そうな局面になった。今▲7二の龍を▲6一龍上と入ったところ。何もしなければ▲5一龍からの二枚換えが厳しい。ここで指された後手村山七段の指した一手は?先手玉への攻めと関連づけながら▲5一龍を防ぐまさに手筋の一着。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問517-1解答)「相手の陣形を乱し、自陣のキズを消す手筋の歩」
実戦は、▲4五歩△同銀▲4四歩△同金▲4六歩。△4六歩を打たれたくないからと言って、単に▲4六歩では△3五桂から△4七歩がある。▲4五歩△同銀▲4六歩は上級者の手筋だが、銀を逃げられても△4三金が固く、あるいは▲4五歩と銀を取った瞬間は何も当たっていないので、△3五桂からの逆襲を受けるかもしれない。▲4四歩と一発叩いてからの▲4六歩が一連の手筋で、先手でこの地点を補強。△3四銀に▲6二飛と打って(次に▲4一飛成)、先手好調の手順に見えた。

しかし実際にはそれでも先手は若干駒損の上、▲7七金が遊んでいるので、形勢良しにはなっていなかったのかもしれない。△3一角から△5二歩〜△6二歩と受けながら角の攻め筋を見せ、△3五桂が入ると後手優勢の局面に進んだ。


(問517-2解答)「龍筋を止める一段歩」
ここで村山七段の指した一手は△8一歩。これは▲5一龍を防ぐと同時に、▲同龍なら△5四角の詰めろ龍取りを見せた手。このように龍筋を止める為、一段目に歩を打つことは多い。ただし、いろいろな局面があり、たとえば金底の歩などは分かりやすいし、銀の場合は、斜め下に歩を打って龍の利きを止めることもある。さらにこのように相手玉との兼ね合いで歩を打つこともあり、こうした歩を読みに入れられるようになれば有段者とも言える。

本譜は▲3六銀と守ったが、今度は△5七角から攻め立てられどうしても一手差が埋まらず、最後は先手玉に必死がかかり後手村山七段の勝利となった。
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