将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2015年9月14日出題)

第516問(2015年9月13日 佐藤天彦八段-郷田王将戦)
(問516-1)
先手佐藤八段、後手郷田九段で戦型は角換わり腰掛け銀。後手から△3五歩▲同歩△2四銀と動き、これに反発する形で、先手の攻め、後手の受けという流れになった。その後、先手の攻めがつながるか切れるかという戦いが延々と終盤まで続くことになったが、下図は小康を得た後手が、今△8四桂と待望の一手を入れたところ。
このまま王手で銀を取られてはいけないので、受け方は限定されるが、7六の銀を取られた後のことも考えておかなければならない。ここで指された先手佐藤八段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問516-2)
先手玉はもう一枚斜め駒を渡さないとなかなか詰まないが、次に△6八馬と切られると必死がかかる。そこで後手の立場なら、とにかく詰めろを解除しさえすれば良いということ。今▲4二歩と垂らされ、次に▲4一金からの詰みを見られている。ここではどのように受けるのが良いか。後手郷田九段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問516-1解答)「相手の攻め筋を考えて受けを決める」
ここで▲7七銀と銀を投入して受けたのが実戦で、見ている時はちょっと驚いた。と言うのも、現状、後手玉への攻めに切れる不安があるので、ここで銀を手放すのは通常だと考えづらいからだ。しかし、たとえば平凡な▲7七歩だと、△7六桂▲同歩に△8六歩▲同歩△8七歩からの攻めが受けきれないと判断したのだと思われる。この時、▲7六にいるのが銀なら大丈夫だ。しかし、反面、持ち駒に銀が一枚少なくなってしまうので、本譜△2二銀と今度は受けに回られた時、攻めきるのが容易ではなくなる。

本譜は馬を切り、何とか後手玉に寄りついて行こうとして、最終盤まで難しい形勢が続いて第2問となった。


(問516-2解答)「玉は上部へ」
寄せる時、「玉は下段へ落とせ」の格言があるように、逃げるときは、上部へ脱出するのが良い場合が多い。もちろん、玉をつり出して詰める時もあるので、常に回りの状況を見て判断しなければいけないが、ここでは△4二玉と玉で歩を払うのが味良くこの一手とも言える。

感想戦では、▲4二歩の代わりに、俗手の▲5一金が検討され、これが意外に受けづらく、そう指していればどうなっていたか分からなかったようだ。本譜は、▲3三金△5二玉と追ってしまい、後手玉に詰めろが続かず、結局▲6九香から受けに回ったが、最後は長手数の即詰みに討ち取り後手の郷田王将が勝利した。

なお▲4二歩を△同飛と取るのは、▲3三金や▲5一銀で逆に簡単に必死がかかってしまう。そこで、△4二飛▲3三金と打った局面からいろいろ修正して作成してみたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ