第519問(2015年10月4日 久保九段-藤森四段戦) |
(問519-1) 先手久保九段、後手藤森四段で戦型は先手四間飛車対後手の左美濃。但し、出だしは角道を開けたままの四間に後手が1筋の位を取った為、両者、相手の動きを見ながらの慎重な駒組みとなった。その結果、先手の藤井システムからの早い仕掛けで戦端が開かれた。下図は、角交換から先手は▲2二角と打ち、後手は△2五玉とここにいた桂を取って、中段で頑張っているところ。今、▲1一角成と香を取られた所だが、ここで後手の手は何か?ほぼこの一手とも言うべき一着がある。後手藤森四段の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問519-2) 後手玉は、中段で頑張ったまま終盤戦に突入。今、△3七香と打ち込んだ所で、次に△2七歩成を狙っている。しかしこの△3七香、感想戦では、△3四香と下からためた方が良かったかもしれないということになった。と言うのも、ここで先手の久保九段に好手が出たからだ。ここで指された先手久保九段の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問519-1解答)「敵の打ちたい所へ打て」 ここは何を置いても△2六歩とこの地点をふさいでおく一手。逆に▲2六歩と打たれてしまうと、先手陣にキズがなくなり、後手玉はすぐにでも詰む形になってしまう。2六の地点がこの局面の急所であり、△2六歩はまさに「敵の打ちたい所へ打て」の格言そのものだ。 本譜はここからも難しい終盤戦が続いた。後手玉は中段のまましぶとく凌ぎ、△3六歩の取り込みが入ると先手玉も急に危なくなっていき、第2問の局面となった。 |
(問519-2解答)「遊び駒の活用」 △2七歩成を受けるためだけに▲2八歩と受けるのでは辛い。このような玉頭戦では、玉頭に自分の勢力を築いた方が大抵有利になる。そこで▲4七銀引と▲5六にいた銀を引いた手が、次に▲3六銀を見た味良い駒の活用だった。もっとも分かっていてもこの筋は受けづらく、△4五角とひねって受けたが、それでも▲3六銀は成立し、先手の駒が後手玉を押し戻した。 本譜は、△2一銀と馬を取った(角が入った)瞬間に先手玉の詰む形を目指し攻め立てたが、どうしてもそのような筋にもっていくことが出来なかった。最後は、先手玉も上部へつり出されたものの凌ぎ切って、先手久保九段の勝利となった。 |
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