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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年1月25日出題)

第533問(2016年1月24日 千田五段-糸谷八段戦)
(問533-1)
先手千田五段、後手糸谷八段で戦型は居飛車穴熊対四間飛車。但し、この戦型に落ち着くまでには初手から駆け引きがあり、さらに組み上がってからは仕掛けも難しかった。その成立しているかどうかギリギリの仕掛けから一気に激しい変化に飛び込み迎えた局面が下図。今、△8六歩▲同銀に△5九角と銀桂両取りをかけたところ。ここではどのように指したら良いか?先手千田五段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問533-2)
後手が先手の穴熊に食い付いている終盤戦。今、△8七銀と打った所で、盤上だけを見れば、穴熊も風前の灯火。しかし先手側から見れば、駒得はしているし、何より持ち駒を大量に持っているので、ここさえ凌げば有利になるという見通しも立てられる。ここで指された先手千田五段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問533-1解答)「両取り逃げるべからず」
銀と桂なら銀の方が価値が高い上に、玉に近いので、助けるなら▲8六銀の方。ただこの場合は、銀を助け、△3七角成とされた時、今度は飛車が不自由だ。そこで、どちらも受けずに▲2二成香と銀を取ったのが本譜。まさに「両取り逃げるべからず」の典型的な一着。この銀を払っておけば、△3七角成なら▲2四飛と走って飛車を使える。
もちろん実戦は、価値の高い銀の方を△8六角成と取ったが、▲8八香から先手の受け、後手の攻めが続くことになった。
なお、両取りを残して、一旦△2二飛と取っておくのも有力と思ったが(解説でも話していたが)、(感想戦によると)それには、今度こそ▲8七銀と取った銀で固く受けられると鉄壁の陣形になってしまい先手有利との判断だった。


(問533-2解答)「穴熊の受けの基本-駒を埋める」
飛車を逃げて受かるなら逃げたいが、△7八金と打たれると▲同飛と取るよりなく、結局交換にはなってしまう。また、▲7七金は味の良さそうな手に見え、こう指すかと思われたが、実戦は▲7九銀と銀を投入して受けた。▲7七金との比較では、一枚でも多く自陣に駒を残して置いた方が受けやすいとの判断で、この辺りは経験と読みの両方が必要だ。

本譜は、△7八銀成▲同銀△3八飛▲8七銀打に、△9五歩と一手緩めて攻めた手に対し、▲1六角から▲6一角成と逆襲、今度は先手の攻め、後手の受けと立場が逆転した。その後、難しい攻防が繰り広げられたが、最後は先手玉に詰めろがかからない状態で、後手玉を寄せ切ることに成功した。

なお、この将棋の最終盤から、「今日の実戦の詰み」を作成したので、そちらもどうぞ。
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