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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年2月1日出題)

第534問(2016年1月31日 藤井九段-北浜八段戦)
(問534-1)
先手藤井九段、後手北浜八段で戦型は先手の角交換振り飛車。一旦先手からの仕掛けを封じた後手は、△3三角と自陣角を放ち、十分な駒組みを構築すると△6五歩から開戦、馬を作りながら銀得になるという大戦果をあげた。下図は飛車の利きを止める為、今△6七歩と打ったところ。実はこの歩は疑問で、感想戦では△8六馬と追われた方が困っていたという話になった。ここで先手藤井九段の指した次の一手は?先手で飛車筋を止められ、▲6三とを払われては勝負が決まってしまうのでそうならないような指し方が求められる。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問534-2)
上図から△8三銀を取りながら飛車を成ることが出来、勝負形にはなった。しかしそれでもまだ後手が優勢だったが、その後後手が何度もチャンスを逃すと下図はもう怪しくなっている。とは言え、次に△4八金と張り付かれると(△6三金を取って)▲2九金という受けはあるものの危険だ。このような局面で指したい筋の良い一着がある。ここで指された先手藤井九段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問534-1解答)「相手の持ち駒と手順の妙」
ここでは△8三の銀が浮いているのが一つのポイント。しかし、平凡に▲6七同飛と取るのは、△6六銀でも歩でも、▲8七飛と回った時、最後の持ち駒を△8六に打たれる。
そこで単に▲8八飛と回るのが好手。△8三の銀取りを先手で防ぐには△8七歩▲同飛△8六銀とするよりないが、▲6七飛と回った時、持ち駒がなくなる。似たような飛車の経路だが、数手先は天と地ほどの差になるのできちんと読みを入れたい。

本譜は、ここで単に▲6三金とと金を払い、▲8三飛成を甘受したが、後手必勝局面から少し差が詰まり、先手にも希望が出てきた。


(問534-2解答)「先着したい角の好位置」
ここはひと目▲6六角とここに角を打ちたいところ。中盤での▲4六角も好位置だが、終盤ではどちらからの▲△6六角も先着した方が有利になることが多い。ここで後手は一旦△4四角と角を合わせたが、▲同角△同歩に、再度▲6六角とこの位置に先着し、もうどちらが良いのか分からなくなった。

本譜は、再度の▲6六角に△6四金と歩を払った手が敗着と思われる。急に先手が必勝形になり、駒を打って凌ごうとしたが、最後は華麗な手順で藤井九段が後手玉を寄せ切り終局した。

なお、この将棋の最終盤から、「今日の実戦の詰み」を作成したので、そちらもどうぞ。
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