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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年2月29日出題)

第538問(2016年2月28日 広瀬八段-郷田王将戦)
(問538-1)
先手広瀬八段、後手郷田王将で戦型は角換わり腰掛け銀。先手が9筋の位を取ると、バランスを取った△6二金△8一飛型から△6五歩と仕掛けて戦いが始まった。対して先手も▲4五歩と反撃すると、今度は△6四角と打って攻めをけん制、結局中盤の折衝で、後手から見て角と銀桂の二枚換えに進んだ。
下図はその直後、今▲1八角と遠見の角を放ったところ。△4五の銀取りであると同時に遠く△8一飛を狙っており、受けが難しい。ここで指された後手郷田王将の次の一手は?先手からの攻め筋をいろいろ読まなければいけないところ。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問538-2)
終盤戦、駒割りも玉の固さもそれほど変わらず難解な局面が続いている。今、△6四桂と手筋である控えの桂を放ったところ。攻め合いで勝てると読めば、△7六桂を受けない手もあるが、やはり桂に跳ねられるのは痛い。そこでどう受けるか?先手広瀬八段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問538-1解答)「角のラインを消す駒の投入」
△8一に飛車がいなければ、△4四歩でも△4六銀でもいろいろ受け方はあるが、ここで△4四歩と受けると、▲3四歩の取り込みを利かされる。また△4一飛と回るのもひと目だが、▲4二歩△同飛に▲5一角と打たれてしまう。
そこで実戦は△5四銀打とこのラインに銀を投入した。打たれてみれば「なるほど」な一着で、▲3四歩や▲4六歩と打たれても、△4五の銀が動けるので大丈夫だ。

しかしここで本譜は、▲5六歩と突いたのが、▲1八角からの継続の読み筋。次の▲5五歩が分かっていても受けづらい。△3五歩▲5五歩△3六歩▲5四歩と進み、一気に激しい終盤戦に突入していった。

(問538-2解答)「手を伸ばす手筋」
△7六桂の狙いに対し、受ける手はいろいろある。▲7七金右と上がったり、▲7七銀打と駒を投入する手の他、▲9八玉の早逃げなど、その局面ごとに最善手は違うので、その都度考えなければならないが、いろいろな筋を覚えておくことは必要だ。
実戦は▲7七銀と▲8六の銀を引いて受けた。△8五桂(△6五桂)と跳ねられるとこの銀は逃げられないが、△7七桂成▲同金右で手を稼いで、まだ陣形はしっかりしている。こうして手を伸ばして、後手玉への攻めに回ろうという読みだ。

本譜はそれでも難解だった。上図より△4四歩▲7二角成△6五桂と跳ねたが、この△6五桂が(感想戦では)疑問。△8五桂と跳ねて9七の地点を押させておいた方が良く、それなら先手の攻めも難しかったようだ。実戦は▲5四歩から▲5三銀の打ち込みが厳しく、結局攻め合いは先手の一手勝ちとなり広瀬八段が準決勝へ駒を進めた。

なお、最終盤の局面からいろいろ駒を動かし「今日の実戦の詰み」を作成したので、そちらもどうぞ。
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