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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年4月18日出題)

第544問(2016年4月17日 平藤七段-斎藤慎太郎六段戦)
(問544-1)
先手平藤七段、後手斎藤六段で戦型は相掛かり戦。出だしは端歩を突き合う駆け引きや横歩取りの可能性もあったが、双方飛車を浮き飛車に構え、先手の平藤七段が自陣角を打って戦いが始まった。対して後手の斎藤六段は、右銀を繰り出し、5〜8筋で激しい攻防が繰り広げられ、そして終盤、今、△8九飛と王手をしたところ。▲5八玉と逃げるのは、△4九角(銀)で詰みなので、何か合駒するしかない。ここでは何を合駒したら良いか?応手は限られているが、なぜその合駒でいけないかも読んで次の先手の一手を考える。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問544-2)
上図から約10手後の局面。▲6五桂△4二銀に、今▲9一龍と香を入手したところ。もちろん次に▲5三香と打つのが最大の狙いだが、狙っているのはこれだけではない。先手の狙いを見破り、▲5三香からの攻めを防ぐには?ここで指された後手の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問544-1解答)「先手で受ける必要性」
ここで▲7九歩と受けて問題ないなら、金は使いたくない(攻めに使いたい)。しかし、▲7九歩には当然香を取ってはくれず、△8八角と打たれても、あるいは直接△7八銀と打ち込まれても、▲同金△同歩成▲同玉に△8八金があり寄せ切られてしまう。
ということで、先手を取る必要があると同時に▲8八の地点に利かせる意味でも▲7九金と打つのが絶対。実戦も金打ちの先手を取って局面は進んで行った。

本譜、こう打たれると△7八銀も指しすぎになり、一旦は△9九飛成と香を取ったが、▲5三歩成を利かせた後、さらに龍を追う▲8八角と自陣に角を入れ第2問に続いている。

(問544-2解答)「香を使わせる受け方」
先手が香を入手したのは、▲5三香の狙いと同時に、▲9九香と龍を捕獲する手も見ている。なので、平凡に▲5三香だけを受ける△5三歩などの手は、すぐに打つかは別にして、▲7七角など一旦歩を払われた後でも常に龍の捕獲を視野に入れられ攻めを急がされる。
そこで実戦は△6四角と龍に当てつつ▲5三香を防いだ。先手は龍取りになっている為、▲5三香と打つよりなく、香を使ってもらったことで、後手は▲9九香を気にする必要はなくなった。

本譜は▲5三で精算後▲7七角と歩を払ったが、△5六香と打たれると受けが難しく、最後は詰めろを振りほどけなくなり、後手の斎藤六段の勝利となった。
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