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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年5月2日出題)

第546問(2016年5月1日 及川六段-木村八段戦)
(問546-1)
先手及川六段、後手木村八段で戦型は角換わり腰掛け銀。先手の▲4五歩に後手も△7五歩▲同歩△6五桂と反撃して戦いが始まった。しかしその後、後手が△3五歩と先手の桂に狙いを付けた所から、先手の攻め後手の受けがはっきりしてきた。そしてその攻防も常にギリギリの局面が続き、一時は先手の攻めが決まりそうな局面もあったが、それを逃し依然難しい局面が続いている。今、▲3四歩△同金に▲4五銀と食い付いたところ。角筋も飛車も存分に利いている為、ちょっとでも間違えるとたちどころに寄ってしまいそうな局面だ。ここで指された後手木村八段の次の三手は何か?大きな損害を出さずに凌ぐ手順は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問546-2)
先手の攻め、後手の受けが続いている為、後手は持ち駒を豊富に蓄えることができた。そして今▲3四銀と出てきた所で、次に▲4三銀打からの攻めを狙われている。ただ、△4一玉と落ちれば詰みまではないので先手玉に駒を渡さずに必死をかければ勝てる。しかしそれも難しそうに見えるので、ここは一旦は受けるところかとも思われる。と言うのも、少しでも手を延ばせれば、後手からの△6六桂が厳しいから。ここで指された後手木村八段の指した一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問546-1解答)「相手の攻め筋を正確に読む」
実戦の進行は△4五金▲同桂△4三歩。問題図で、単に角道を止めるのは、▲3四銀と金を取られてしまうし、飛車を切るのは早すぎる。また、△4五金▲同桂となった局面で角道を止めるのは、今度は▲2四飛と出られてしまう。上図でも▲2四飛や▲3四金などが見え、それらも厳しい手のように見えるが、それも凌げると読んでの受けだ。

本譜はこの後、▲3四金に△2三銀(←この受けもこれしかないが、参考になる)と打って、ギリギリの攻防が続いていった。

(問546-2解答)「攻め駒に当てて受ける強い受け方」
ここで△3三金打と金を投入して受けたのが実戦。▲4三銀打は△4一玉で詰まないと言っても、△6六桂では、(▲4三銀打△4一玉)▲2一飛成に合駒まで使わされた後、▲7七歩と手を戻され攻めきれないかもしれない。そこで木村八段は、△3三金打と飛銀に当てて受けた。これは▲同銀成と普通に取られて取り方が難しく見えるが、形は悪くても△同金と取っておき、▲4一銀も△4三玉で一手の余裕があると見ている。

本譜も、ここまで来れば一手勝ちと読み切っていたのだろう。先手の攻めが一段落したところで、△6六桂と打ち、▲7七歩に△8六桂▲同歩△同飛と攻め、最後は先手玉を即詰みに討ち取り後手の木村八段の勝利となった。

なお、実は▲4三銀打からの手順で「実戦の詰み」を作成しようとしたが、うまく出来ず(ちなみに▲6五歩が▲6三歩なら狙いの作意ではない余詰め多数の13手詰になる)、で結局、先手玉の詰みを大幅に修正して作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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