将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2016年7月4日出題)

第555問(2016年7月3日 稲葉八段-高見五段戦)
(問555-1)
先手稲葉八段、後手高見五段で戦型は横歩取り△3三角戦法。▲7七角〜▲3六歩に、後手が△7五歩から△1六歩と仕掛けて戦いが始まった。横歩特有のほとんど中盤のない形から一気に終盤戦に入り、それでもどちらが良いのが分からないような応酬が続いた。そして下図、今▲2三歩△同銀▲2四歩△同銀と銀頭を叩き、▲1四角と打ったところ。後手から見れば、△1九歩成〜△2九歩成の二手が回れば勝ちだが、その余裕を作れるまで凌がないといけない。ここで指された後手高見五段の指した一手は?すぐに△1九歩成は▲4三とで受けがなくなる。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問555-2)
上図からも先手の攻め、後手の凌ぎが続いた。そして下図は、今▲5五桂と打ったところ。▲1七に香を利かせている為、次に▲4三桂成からの三手詰となっているが、実はこの桂は感想戦で疑問とされた手。ここでは先に▲2四歩△同金を利かせてから打つべきだったということだが、この疑問手も好手で返さないと良い手になってしまう。ここで指された後手高見五段の指した一手は?受けの勝負手にも見える手だが、実は手筋としてある手で、この一手で勝利を引き寄せた。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問555-1解答)「先手で受ける位置」
ここで高見五段の指した手は△1三金。これがしぶとい一着だった。次に▲4三とと寄られてはダメだが、だからと言って△2三金打では切られてしまうし、△4四金では何も当たっていないので、一手余裕を持って攻められてしまう。
実戦の△1三金なら▲3二角成△同玉となった時も、受けに役立ちそうで、攻める方も焦らされる。やはり終盤は、先手を取って受けるのが基本だ。

本譜はそれでも先手が少し良さそうで、実際感想戦では寄せもあったのだが、攻めをせかされ先手の指し手も難しく、次の第2問に取り上げたようにミスを犯して逆転へと進んで行った。

(問555-2解答)「成駒の威力を半減させる手筋」
ここで指された手はタダ捨ての▲5二金。これが強烈だった。このようにタダで駒を捨てて、成り駒をそっぽに行かせる手と言うのは手筋としてあり、手筋本などにも載っているが、実戦で見事にそれが決まるのは珍しい。実際、▲5二同成香△1九歩成に▲2四歩が詰めろにならなかった為に成功した手筋であり、もし、▲2四歩が詰めろになっていたら△5二金は不発だったということになる。

本譜は、△1九歩成〜△2九歩成を間に合わせることが出来、後手の△1三金〜△5二金という勝負手が功を奏し逆転で後手高見五段の勝利となった。

なお、最後、先手玉の詰みはやさしかったが、余詰めを消してちょっと難しくしてみたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。

先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ