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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年10月24日出題)

第571問(2016年10月23日 橋本八段-三浦九段戦)
(問571-1)
先手橋本八段、後手三浦九段で戦型は横歩取り△8五飛戦法。先手が最新の研究による囲い方をすると、これに△7五歩▲同歩△同飛としてここから局面が動いた。そして中盤、角交換後さらに飛車も交換され激しい終盤戦に突入、どちらが読み勝っているかという勝負になったが、この辺りで後手の三浦九段にやや誤算があったようだ(感想戦で)。
下図はその終盤、今▲8一飛と打ち込まれたところ。もちろん△5一金をタダで取られてはいけないから何か受けるしかない。後手三浦九段はどのような受けをしたか。後手の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問571-2)
後手の抵抗にも一気に踏み込み、先手優勢となった。その最終盤、下図の後手陣はもうあまり受けようのない局面となっており、後は後手からの攻めをどうするかというだけ。今△7六桂と王手金取りがかかっている。玉は逃げるしかないので指し手は六通り。こうした終盤で指すべき当然の一着は?先手橋本八段の指した一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問571-1解答)「大駒は近づけて受けよ」
先週に引き続き今回も「大駒は近づけて受けよ」と言われる歩の手筋。△7一歩と受けたのが実戦であり、アマチュアでも有段者になる時に習い覚える手筋でもある。▲同飛成なら△6二銀と先手で受けることが出来るのがこの歩の効果。これを打たずに単に△6二銀では先手の手番になり、たとえば▲9五角と打たれるとまた受けなければならない。ただ、局面によっては単に△6二銀の方が良いこともあるので、その後の展開は冷静に読む必要がある。

本譜は、▲8五飛成から△8九歩成に▲2五龍と飛車を大転回し玉頭へ。後手も△3四角と頑強に凌ごうとしたが、これをバッサリ▲同龍と切り、一気に後手陣に襲いかかり先手優勢となった。そしてここを凌げば勝ちの第2問へと続く。


(問571-2解答)「終盤は駒の損得より安全」
逃げ場所としては▲5八玉と寄るのは当然の一着。タダで金を取られるのはもったいないからと7筋に逃げるのは、△8八桂成▲同玉で桂は取り返しても玉が危険すぎ、あっという間に逆転ということになる。また、終盤では上部に逃げることも多いが、ここでは△8八桂成の局面を想定して一番安全な場所はどこかを考える必要がある。この▲5八玉を詰める為には、(△7八飛を打つかどうかは別にして)△6七へ金駒を捨てる手から入るのが自然。つまり▲6七玉と逃げるよりは明らかに一枚違うという訳。故に金銀に守られている▲5八玉が一番安全であり、初級者にもこういう局面ではこちらに逃げて欲しいと思う。

本譜は仕方ない△8八桂成に、▲3三銀から▲6一角と本に出てくるような必死の手筋で先手勝勢、そのまま先手橋本八段の勝利となった。

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