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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年10月31日出題)

第572問(2016年10月30日 行方八段-永瀬六段戦)
(問572-1)
先手行方八段、後手永瀬六段で戦型は相掛かり。ただ先手が飛車先を切らずに、▲3六歩から▲3七銀を急いだため、あまり見ない手将棋模様に進んだ。そして早い段階で先手が▲3五歩と開戦、一気に難しい中盤戦に突入した。
下図はその攻防の真っ最中、△6四角に▲4六歩と受けたところ。先手からは▲2四銀もあるが、▲3七桂が良い味でそのまま▲4五桂まで飛べれば必勝だ。そこで、ここで指された後手永瀬六段の指した一手は何か?先手は何でも▲3七桂を跳ねるとして、実戦で進んだ次の三手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問572-2)
後手も飛車を成り込み先手玉に迫っている。そして受けに打った△3五銀を巧みに使い、急所の▲4五桂を外すことに成功。今▲3三歩成とと金を作られたところだが、ここで指された後手の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問572-1解答)「守りの金を前線に」
ここで永瀬六段の指した手は△2三金!以下▲3七桂に△3四金とぶつけた。通常守りの金銀を攻めの金銀と交換する取り引きは損になることが多い。しかしここでは▲3七桂からの攻めに対抗するためのひねった受けの手段。

本譜はこの力強い金の動きで局面は混迷、先手は桂二枚を中央に飛び気持ちの良い攻めの態勢を作ったが、後手も飛車を王手で成り込み難しい終盤戦に突入した。


(問572-2解答)「玄妙な銀の使い方」
ここで永瀬六段の指した一手は△5四銀。この局面だけを見ればこの手は取られそうな銀を、桂取りの先手で逃げる自然な一手と言える。ただこの数手前、この銀は飛車を押さえ込む為△3五銀とここに打った銀だ。それを飛車に当てながら△3六銀〜桂を取りながら△4五銀と進み、そして今△5四銀と引いた手になっている。この使い方はなかなかの手順。さらにこの後、△6五銀とこちらの桂まで取って最後には玉を寄せる所まで大活躍している。

本譜は急所の桂二枚を払った後手が優勢になり、一気に先手陣に襲い掛かった。そして最後は角を切り、先手玉をきれいな即詰みに討ち取り、後手永瀬六段の勝利となった。
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