第576問(2016年12月4日 斎藤慎太郎六段-佐藤康光九段戦) |
(問576-1) 先手斎藤六段、後手佐藤九段で出だしはお互い飛車先を突く居飛車。しかしすぐに佐藤九段が角道を止め向かい飛車に振ると定跡から外れた居飛車対振り飛車の戦いとなった。 その後、先手が伸びすぎた後手の△8五歩を桂で取ると、8、9筋での攻防が始まった。下図は、後手が△8四銀から△9五歩と意表の端攻めを敢行したところ。ここではどう指したら良いか?先手斎藤六段の次の一手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問576-2) 先手が巧みな手順で玉頭から攻め立て優勢になった。しかし後手も玉を左辺へ逃げ込み、決め手を与えないままの終盤戦が続いている。下図は、後手玉が詰まない為、一旦△9七歩を▲9七金と払ったところ。ここで△6七金と寄っても▲7二飛が攻防で、後手はすぐに負けてしまう。現段階での後手は何を指しても形勢不利なのは仕方ないが、それでも簡単には負けない一番粘れそうな受けは何か?後手佐藤九段の指した一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問576-1解答)「玉頭を厚くする」 どんな棒銀に対しても、▲同香と銀を取る手は自然でそれが疑問手になることはほとんどない。ここでも取る手もあると思うが、実戦、斎藤六段は▲8七金と上がって玉頭を厚くした。これで、今度こそ銀を取られてしまうので、後手は△9六歩と守るしかないが、歩切れになり8五の桂を△8四歩から取る手はなくなった。 実戦は、この後▲7五歩から果敢に攻め込みその攻めも成功、後手は左辺への遁走を余儀なくされ苦しい終盤戦が続いた。 |
(問576-2解答)「玉の逃げ込む囲いを作る」 飛車の王手が厳しいと分かっていても、どこを受けたらよいか難しい局面だ。実戦、佐藤九段は△3二金とこちらに金を打って、追われた時に、3筋から△2二玉と入城する手を見せて紛れを求めた。 本譜はこの後が長かった。ただ、後手が△2二玉と入城し自陣が固くなると攻守が入れ替わり先手玉に迫った。さらにその後、先手も頑強に抵抗したが、犠打を駆使され龍で絡み付けられると最後は受けがなくなり、後手佐藤九段の勝利となった。 なお最後は、ピッタリした詰みで終局した為、これを「今日の実戦の詰み」として載せてみた。但し、放送での解説は13手詰。私も先にその筋が見えたが、柿木で詰みを確認すると11手だった。つまり、13手の方が余詰めになるということ。 |
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