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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年12月12日出題)

第577問(2016年12月11日 村山NHK杯選手権者-石井四段戦)
(問577-1)
先手村山NHK杯選手権者、後手石井四段で戦形は後手のノーマル四間飛車に先手の居飛車穴熊。良くありそうな形から1〜5筋で小競り合いが始まり、先手が角を切り大さばきに出た。この踏み込みが成功し先手十分かとも思えたが、後手も巧みな手順を駆使し、難解な中盤戦から終盤戦へ突入。先手に決め手を与えないままの終盤戦が続いている。下図は、一気の寄りがないと見て、▲4六金と龍角取りに金を打ったところ。この両取りにどうするか。後手石井四段の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問577-2)
先手が少し良さそうという形勢が続いている。しかし、後手玉に詰みのない状況で、先手玉にも詰めろがかかった。薄い詰めろなので受け方はいろいろありそうだが、ここではどのような受けが良いのか?先手村山NHK杯選手権者の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問577-1解答)「両取り逃げるべからず」
龍と角の価値では明らからに龍の方が高いので、龍を逃がす手は自然だ。しかしどこに龍を動かしても、なかなか棋勢は好転しない。そこで石井四段の指した一手は△6五角。「両取り逃げるべからず」を地で行く手で、飛車取りであると同時に真の狙いは△7六角から△8六桂だ。龍は取られてしまうが、角二枚で先手玉に食いつこうとする手で、「なるほど」な一着。そして次の問題では実際に穴熊玉に詰めろがかかった。


(問577-2解答)「終盤では先手を取る」
△8六桂を防ぐということなので、この地点に銀や香を打つと言うのは自然な考え方。しかし、先手になっていない上に、△3二角と飛角交換をされた後、△7六桂など今度は横から攻められてしまい上部が渋滞、逃げ道がないという状況にもなりそうだ。そこで実戦、村山NHK杯は▲7七銀打とここに銀を打って△8六桂を防いだ。これは銀桂交換になってしまうが、先手を取って横からの攻めにも弱体化しないようにした受け。

本譜はこの後、上部脱出を図る後手玉を先手が捕まえられるかどうかという際どい終盤戦が繰り広げられた。そして最後は後一歩の所まで脱出されそうになったが、何とか後手玉を捕まえることに成功、先手村山NHK杯選手権者の勝利となった。

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