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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年12月26日出題)

第579問(2016年12月25日 羽生三冠-佐藤天彦名人戦)
(問579-1)
今回は将棋の日の対局を放送していたのでその「次の一手名人戦」から出題。
先手羽生三冠、後手佐藤名人で戦形はゴキゲン中飛車。ただ、双方穴熊に組む相穴熊戦となっている。戦端は▲3五歩から。その後飛角交換となり、▲7一飛と下ろした先手はほぼ桂香を拾う手が約束されている。そこで後手も端から手を付け勝負に出た。下図は△1六歩と垂らしたところ。すぐに端から破られる訳ではないがここで何をするかは難しい。そこで、ここで指された先手羽生三冠の次の一手を問う。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問579-2)
終盤戦、後手の△1七飛の手に、▲1六にいた香を▲1三香不成と王手で桂との交換を図り、△同銀上と進んだところ。次に△1九歩成を見られているが、同時に△3三香も厳しい。ここで先手はどのように指したら良いか?先手羽生三冠の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問579-1解答)「遊び金を守りに付ける」
ここで羽生三冠は▲5八の金をじっと▲4八金寄とし、△1五角に▲1四歩△同香の交換を入れ、さらに▲3八金寄と自陣に金を寄せた。
このように戦いの途中で金銀を守りに動かすというのは、時に緩手になることもあるが、双方に厳しい手がない状況の時には有効な手になりやすい。

本譜はこの後、もう一度飛角交換になり、後手は△1七銀と打ち込んで先手陣に襲い掛かった。

(問579-2解答)「終盤は先手になるように受ける」
△1九歩成を受けるだけなら▲2八銀でも受かるが、(▲2八銀には)△1九飛と打たれ寄せ切られそうだ。そこで実戦、羽生三冠は▲2八玉と玉を上げて(玉の退路を確保しながら)飛車取りの先手でこの地点を受けた。

本譜は単に飛車を助けるだけでは勝てないと見て、△3三香と田楽刺しを放ったが、▲2六馬△3八香成に▲同玉と相手の手に乗り左辺へ脱出することに成功。後手の攻めが遅くなった為今度は先手が反撃、最後は後手玉に二手必死、先手玉に詰めろが続かなくなるという状況で先手の羽生三冠の勝利となった。

なお終盤の局面から、「今日の実戦の詰み」を作成してみたのでそちらもどうぞ。
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