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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年1月9日出題)

第580問(2017年1月8日 橋本八段-深浦九段戦)
(問580-1)
先手橋本八段、後手深浦九段で戦形は角交換振り飛車。ただ、5筋を突き合った為、双方▲5三(△5七)に角を打ち馬を作りあう手将棋となった。そしてその後、中盤は長い駒組みが続きじっくり戦況をうかがった後に満を持して先手が開戦、これに反撃し難しい終盤戦へ突入した。
下図は▲7三に成った成桂を一歩を取りながら▲7四成桂と引いたところ。ここで△9一の飛車を成っておくのは自然だが、その前に深浦九段は手筋の一着を放った。ここで指された後手の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問580-2)
終盤戦、△8五角が鋭い一着で後手が一歩抜け出した。下図、先手からは▲5四歩からの攻めを間に合わせるしかなさそうに見えるが、後手の攻めの方が早く苦しい。今、△5七桂と金取りに打たれこれも厳しい一着。ここはどう受けるのが一番手数を稼げるかという問題。先手の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問580-1解答)「一歩で一手を稼ぐ手筋」
たとえば金や成駒を引いた手に対し、元いた場所に歩を打って△同金(△同成駒)とさせる手筋がある。同じ状態に戻り一歩相手に渡すことになるが、手番は自分になり、それを「一歩で一手を稼ぐ」という。ここでの△7三歩がまさにそれ。もし▲同成桂と取れば一歩で一手を稼いだことになる。
もっとも実戦は▲4六馬という手があり、△7三の歩は馬で取られることになるが守りに強力な馬を相手の陣地から引っ張り出す役目は果たせたと言える。

本譜は難解な終盤戦だったが、後手が好打を放ち、一手勝ちになったかと思われた。

(問580-2解答)「取られそうな金駒はかわすのが基本」
手を抜くかかわすかのほぼ二択なのだが、手を抜いても代わる手が▲5四歩くらいしかなく、明らかに手負けだ。そこで実戦▲3九金と逃げた方が手を稼げると見て金をかわしチャンスを待った。

それでも本譜△5八成香が非常に厳しく、後手の一手勝ちがはっきりしたと思われた。しかしドラマは最終盤に起こった。深浦九段が珍しく攻め急ぎ、また応手にも疑問手が出て逆転、先手の橋本八段の勝利となった。
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