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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年2月6日出題)

第584問(2017年2月5日 久保九段-郷田王将戦)
(問584-1)
先手久保九段、後手郷田王将で戦形は結果としては久保九段の居飛車対郷田王将の向かい飛車になった。と言うのも、序盤から戦形選択の駆け引きがあったからだ。駒組み途中、先手は中飛車に振った飛車を居飛車に戻され、代わりに5、6筋の位を取り厚みを築く。その厚みで、中盤からの戦いは十分になったが、後手から玉頭へ猛攻され形勢は混沌、どちらが勝っているか分からない終盤戦へと進んだ。
下図は▲2一飛成と成り込んだところ。直前に△7四桂を打ち、△8六金は打てるし、角も取れるのだが、ここで郷田王将は受けの手を指した。後手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問584-2)
難解ながらも逆転(後手が勝ち)かと思われた下図の局面。次に△6八角成と成れば必死。このままでも駒が入ると、△8六金(銀)と捨てて詰む筋がある。そこでどう指すか?ここで指された先手久保九段の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問584-1解答)「龍の利きを止める飛車底の歩」
部分的な受けとしては手筋でもある飛車底(金底)の歩。ただ、角を取ったり、△8六金からの攻めの手が見えるところだけに受けに手が行きにくい。しかし、図のように打つことで先手の飛車がすぐに使えなくなり、また先手陣もまとめるのが難しく、局面は逆転ムードとなった。

この後、▲4一龍に△6四角▲7五銀と先手の玉頭で攻防が繰り広げられ、第2問へ続いている。

(問584-2解答)「終盤は先手を取って受ける」
駒を渡さずに詰めろをかけられるなら分かりやすい。しかしそれが難しいのでここでは金取りを受けることを考えざるを得ない。その受け方だが、▲6九歩が一番弱く、これは角取りにもなっていないのですぐに寄せられそう。そこで金を打って受けるのが普通で、第一感は▲6九金打と玉に近いこちらの方が自然。このあたりは、この後の後手の攻めを読んでどちらが良いか決めることになる。久保九段は△7七銀から攻められた後、幸便に△4八角成と成られるのを防ぐ為に▲5八金打とこちらに打ったものと思われる。

本譜はこの直後の攻めがぬるかった。△6五歩が敗着級の悪手で以下▲5九金△6六歩に▲8六角で先手優勢。最後は▲5二龍から▲8二金と王手し、後手玉を即詰みにして先手久保九段の勝利となった。
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