第585問(2017年2月12日 千田六段-佐藤康光九段戦) |
(問585-1) 先手千田六段、後手佐藤九段で戦形は後手のダイレクト向かい飛車。先手が▲5六角と△3四の歩を狙って生角を打ち、先手の歩得対後手の持ち角という戦いで局面は進行していった。 そして下図、今△1四歩とその角を攻め立てたところ。ここではどのように考え、何を指すべきか。先手千田六段の指した次の手を三手まで(読みとしては五手まで)考えて欲しい。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問585-2) 後手は端の折衝で香得を果たしたものの、その香を△3一へ使わされ、さらに中央で戦いが始まり有利差がほとんどなくなっている。そして今、先手が▲4六銀と5七にいた銀をぶつけてきたところ。ここは不用意な手を指すと一気に悪くなりそうな局面だ。ここで指された後手佐藤九段の次の一手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
|
(問585-1解答)「香損の代償」 △1五歩と取られて▲4九角と逃げるようでは、この瞬間こそ駒損していなくても、持ち駒と生角の働きに大差があり、先手として主張するものが何もなくなってしまう。そこで、▲1四同歩と取り、△同香に▲3四角と出て、以下△1九香成▲1二角成と進め、香損しても馬を作っておくと言うのがじり貧にならない考え方。 もちろん単なる馬だけでは、香損の方が大きいが、何も主張できるものがない方が局面の形勢判断としては辛いと覚えておきたい。 この後、実戦もそうなったように▲2三馬に△3一香と使わせることで、駒損の差は少なくなり、さらに中央で戦いが始まり、どちらが良いのが分からない力の入った中盤戦から終盤戦へ突入した。 |
(問585-2解答)「玉を直射する角に注意する」 △4六金と銀を取るのは、▲5一飛成があるので論外だが、△5六歩と歩を前に打つのは自然な一着だ。しかし、(△5六歩には)▲5五銀と金を取られ、△同銀の後、▲2八馬が△8二玉を直射している為、いろいろな攻め筋があり収拾が付かなくなる(たとえば▲5六飛や▲6五金、▲5二歩▲5三歩など)。そこで、そういった攻めを防いだのが下に打つ△5四歩だ。これなら▲5五金に△同歩で、まだ角筋が二重に止まっている為、先ほどのような攻め筋がない。 本譜は▲5七銀と引いて、△5四歩をとがめようとしたが、後手も△2二角から巧みな手順で△5五の金をさばいた。さらに飛金交換で駒得を拡大すると、最後は粘る先手に着実な攻めで後手佐藤九段の勝利となった。 |
先週の問題へ/来週の問題へ |