第588問(2017年3月6日 佐藤天彦名人-永瀬六段戦) |
(問588-1) 先手佐藤名人、後手永瀬六段で戦形は角換わり。ただ最も多い腰掛け銀を採用せず、先手は序盤早々▲3六歩から▲3七桂と攻撃態勢を築いた。これに後手も呼応し、どこまで研究が行き届いているのか分からないが、あまり見たことのない仕掛けへと進んだ。その先手の攻めは居玉でしかも攻めそのものが軽いので、成立しているかどうかギリギリの攻防だったが、下図、駒損ながらも飛車を成り込んでいる。ここで後手はどうすべきか?王手なのでこれを防ぐしかないが、次の相手からの攻めを考えたもっとも良い受け方とは? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問588-2) 中盤から終盤へかけ際どい攻防が続いた本局。しかし、先手がタイミング良く後手の攻めを催促すると駒を入手することが確実になり先手優勢となった。下図の先手玉はまだ詰まないので、詰めろをかければ勝ちだ。しかし現状の持ち駒で簡単に後手玉が寄る訳でもない。そこでどうするか?先手佐藤名人の指した次の一手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問588-1解答)「龍から遠ざかる逃げ」 大駒の王手に対しては合駒することが最も多い。なので何も考えないと、△3二香とか打ってしまいそうだが、▲4五桂が厳しい攻め。金が逃げると▲3三歩がある。そこで△5一玉と逃げたのが実戦。王手に対しての受けなので、「玉の早逃げ」とは言えないが、相手の攻め駒から遠ざかるという意味では似たような感じ。これでも実戦▲4五桂は厳しいが、一路遠くへ逃げているだけに合駒した時に比べると耐久力がある。 本譜はこの後も、難しい攻防が続いたが、再度の後手玉の早逃げに、▲2六歩と角取りにせかした手が幸便で先手有利がはっきりしてきた。 |
(問588-2解答)「攻めを見た受け」 ここで実戦は▲5六銀。これはここだけを見ると単に受けただけのように見えるが、実は後手玉を攻めるのは、▲5四桂が一番早い。そこでその桂を味良く受けながら取りに言った手でもある。 本譜、この銀で局面ははっきりした。△3六桂から△4八桂成〜△3六銀と一瞬は先手玉にも詰めろがかかったが、攻防の▲8三角に、その▲5四桂も入ると、その時点で後手が投了、先手佐藤名人の勝ちとなった。 なお投了の局面から後手の持ち駒を増やし、詰めろでない先手玉を詰むように変えたので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。 |
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