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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年5月15日出題)

第598問(2017年5月14日 千田六段-藤井聡太四段戦)
(問598-1)
先手千田六段、後手藤井四段で戦形は角換わり腰掛け銀。序盤から趣向を凝らし最新形である▲4八金△6二金から双方が飛車を引く形で進み、戦いは、先手が▲4五銀のぶつけから▲2五桂と跳ね、▲3四銀と一歩をかすめ取る形で始まった。その後、先手は▲5六に角を据え、両にらみで手を作りに行く。そして今、▲7五歩と突いたところ。△同歩には▲7四歩が見えているが後手も△2四歩で桂が取れるのでまったくないとは言えない。ただその時の形勢判断はどうか。そしてもっと良い手はないか。後手藤井四段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問598-2)
後手は▲2五の桂を取り桂得になった。しかし先手に馬を作られ、9筋も取り込まれている。さらに今▲6五歩と打たれ、飛車もいじめられそうで局面は難解。この飛車がいじめられながら攻勢を取られると後手としては大変な局面。正念場のこの飛車取りに後手はどう応対するのが良いか?後手の指した手を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問598-1解答)「同じ利きを受ける自陣角」
ここで藤井四段が指した一手は△4一角の自陣角。手筋としてはある手だが、この瞬間は▲5六角に対し働きが弱く打ちづらい。ただ、手が進めば△2四歩からの桂得や△7五歩など後手に指したい手が多く、先手の攻めをせかしているとも言える。

実際先手もゆっくり出来ず、9筋から動いていったが、後手は桂を取り切り、後は飛車さえ押さえ込まれなければという展開になり、そして第2問へ続いている。

(問598-2解答)「逃げながら攻め駒を遠ざける動かし方」
▲6五歩に対し取る手もありそうだが、ここで藤井四段は巧妙な手順を披露した。△4四飛と一旦ここへ逃げて△4六飛を見せ、▲4五銀に△1四飛と端に逃げた手順がそれだ。▲3四銀を一路後退させ、さらに△1四飛の位置が受けに非常に良く利いている。

本譜はこの飛車の利きが絶大だった。この後、△7四銀から馬に当てて△7二桂と打ち、駒を前進させていったのが巧みな手順。上図はまだ難解だが、△6五銀から△7六歩と攻め立てた手に何か誤算もあったのか、先手に悪手が出て一直線の変化になり後手優勢。そのまま押し切り、後手藤井四段の勝利となった。
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