第600問(2017年5月28日 宮田六段-久保王将戦) |
(問600-1) 先手宮田六段、後手久保王将で戦形は居飛車対中飛車。序盤、先手が▲6八玉のまましばらく角道を開けないと、後手は中飛車に振り、角を交換した振り飛車となった。その後、駒組みは進んだが双方手を出しづらい局面になり千日手の懸念も。しかし後手の久保王将が誘いのスキを作るとそれに先手も乗り、戦いに入った。その後、後手の誤算もあったか、一気に激しい変化に突入、先手優勢の終盤戦が繰り広げられた。 下図はその最終盤。今▲9一角に△9三玉を決めたところ。後手玉はまだ詰まないので、先手玉の詰めろを防ぐしかない。ここではどのように受けるのが良いか?先手の指した次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問600-2) 先手玉は△8八銀から追っても詰まない。一方、後手玉は詰めろでしかも△7三玉とこの成桂を払っても▲8五桂で詰んでしまう。こうした成り駒が払えない以上受けはないとしたものだが、ここでは絶妙の手順でこの詰めろを防ぐ手がある。但し、一度詰めろを防いでも、先手が間違えない限り後手が勝つのは容易でない。それでも簡単に負けない為の最善の受けは何か?後手久保九段の指した次の三手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問600-1解答)「終盤は攻め駒に当て先手で受ける」 △6八龍(馬)を防がなければいけないが、▲6九金打と受けるのは、ただ受けただけで角取りの先手にもなっていなければ△6八馬から△5七銀とからまれる手も残してしまう。ここではまず▲5八に駒を打ち、馬取りにすることが重要。ただ、金を使うか桂で間に合わせるかは難しく、どちらの駒を残しておいた方が良いのか他の状況を読んで決めることになる。 本譜は▲5八金打とし、馬が逃げれば▲7三角成から▲8五桂打のつなぎ桂が厳しい。そこで馬を切って攻めて来るが、それでも▲7三角成からの攻めがあり、先手優勢のまま第2問へと進んだ。 |
(問600-2解答)「簡単に諦めない粘り」 問題図で△7三玉と成桂を取れないのでは、投げてもおかしくないと思っていたが、久保九段は絶妙の手順で詰めろを防いだ。それが△8五桂▲同歩△7三玉という手順。△8五桂は逆王手になるので考えづらいが、▲同歩とさせることで、▲8五桂からの詰みを防いでいる。ただし、▲8五歩とここを開けさせてしまうために、先手玉も安全になる。なので依然苦しい状況に変わりはないが、簡単に諦めない見習うべき粘りと言える。 本譜は先手が大きなミスをしない限り逆転の起きない終盤戦が続いた。そして最後は粘る後手を突き放し、後手玉を即詰み、先手の宮田六段の勝利となった。 なお、第2問の凌ぎはこの実戦しかないと思われたが、この局面をソフト検討した結果、△6五桂▲同歩△5七角成という手もあった。これも△8五桂と同じような凌ぎで、▲8三成桂以下の詰めろを防いでいるが、やはり正確に指されると後手は粘りきれない将棋だったようだ。 |
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