第607問(2017年7月16日 中村太地六段-山崎八段戦) |
(問607-1) 先手中村六段、後手山崎八段で戦型は相居飛車。お互い序盤から工夫を凝らし、手将棋となった。その後、駒組みで先手は矢倉に、後手は雁木風に進め、後手が△7五歩と仕掛けて戦いが始まった。 下図は、銀交換さらに桂の交換も行われた直後、後手から△8八銀と打ち込んできたところ。あまり見ない筋だが、ここで先手はどうするか。これが正解というほど明快な手がある訳ではないが、どのように考えるか、その時の形勢をどう見るかによる。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問607-2) 後手からの攻めの途中、先手も一気に後手玉に襲いかかった。しかし龍は作ったものの一旦受けられて反撃されると先手の一段玉はもろかった。下図はその最終盤で後手優勢。今、先手玉には△6八金の一手詰みがかかっている。そこで▲6一飛と王手をして相手の応手を伺ったところ。後手としてはここさえ間違えなければ勝ちは近い。この王手にどのように受けるのが良いか。後手山崎八段の指した次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問607-1解答)「駒損なし金銀交換 or 香損で銀を遊ばせる、か」 手抜きで厳しい攻めがあればそれも候補に入れるが、ここでは実戦の▲8七金か、▲5八玉と上がるかのほぼ二択のように見える。▲5八玉と上がるのは香を助ける手で、そうなると△7七銀成と金を取られ交換になる。一方、▲8七金と寄るのは、△9九銀成と香損するが、相手のこの銀を遊ばせる可能性は高い。こうした局面では、後手玉への迫り方とか盤面全体を見てどちらがより良いかを選択することになる。 本譜はこの後、先手は猛烈な攻めに出たが、どこかで自陣に手を入れて置いた方が良かったのかもしれない。小康を得た後の△7五桂が厳しく、後手有利の終盤戦になった。 |
(問607-2解答)「合駒は安い駒から」 この飛車の王手に△5一金打とすれば飛車は詰んでいる。なのでそれだけを見て打ってしまう人もいるかもしれないが、将棋は常に盤面全体を見て考えたい。つまり金を使ってしまうと先手玉への詰めろがほどけてしまうのが大きいという訳。そこで、ここでは△5一香と一番安い駒を打つのが基本で正着となる。 なお、この局面で激指に評価をさせてみた。すると、△5一香と合駒すれば約3000点で後手勝勢。△5一金打は約1000点で後手優勢。△5一角は約400点で後手有利。△4二玉と△5一金は後手玉が詰みで先手の勝ちという結果だった。終盤は、常に一手で大逆転が起きるので、十分な読みと共に詰みの力も鍛えたい。 本譜は先手も一旦受けに回ったが完全に受け切ることは出来ず、最後先手玉はきれいに詰まされ、後手山崎八段の勝利となった。 |
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