第614問(2017年9月3日 森内九段-藤井聡太四段戦) |
(問614-1) この一局は生放送で行われた。先手森内九段、後手藤井四段で戦型は相居飛車。矢倉の出だしから先手は矢倉囲いに囲ったが、後手は飛車先の歩を切らせる代わりに、右四間に組み攻撃態勢を整えた。そして先手の手に乗り△6五歩から開戦。先手玉は居玉のまま戦いに入ることになった。 下図は中盤から終盤に入るところ。△5七銀と玉の上部に銀を置いた局面。玉を下段に押さえるという意味では基本の手だが、持ち駒がない為やや不思議な一着だ。これに対しどのように受けたら良いか?そもそもどこの何を受けたら良いかも難しい。ここで指された先手森内九段の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問614-2) やや指しやすいと思われる局面から徐々に有利を拡大し、下図は後手必勝局面になっている。とはいえ、次に▲3三歩成△同桂▲3四歩と攻められるともたない。そこでどう受けるか?正解は必ずしも一つとは限らないが、ここで指された後手藤井四段の手は、人間なら「なるほど」と納得する手順。明快な勝ちに持っていくための攻防の手順とは?ここで指された後手からの三手を問う。 |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問614-1解答)「じっと金を寄せる」 ここでは本来なら△5七銀に直接アタックをかけたいのだが、▲4九桂と打っても△6六銀成と取られるとかえって大駒が働いてきてしまう。そこで、じっと8八の金を▲7八金寄としたのがしぶい一着だった。飛車がいなくなり金駒が入った瞬間に一手詰になるこの局面は、かなり怖い局面と言えるが、このようなところで、じっと金を寄ってすぐにはつぶされないと読むのは力量が必要なところ。 本譜は△3六歩▲4八銀から銀交換になり、再度△8八歩と打ったが、その瞬間に先手も▲2四歩から反撃に出た。しかし、△5五角からの攻めが厳しく、後手優勢のまま第2問へと続く。 |
(問614-2解答)「銀を捨てて先手を取る受け」 銀取りなので、△2四銀とか△4四銀とか飛車に当てて逃げる手は自然だ。しかし、▲3三銀と打ち込まれると、△同桂▲同歩成△同銀から先手先手で攻められるおそれがある。もちろんその局面は先手玉に詰みもあるので、長手数の詰みが読めれば問題ない。しかし、人間的には逆転の可能性の残る指し方でもある。実戦、ここで藤井四段は、△3四同銀と歩を払い、▲同飛に△3三香と打って受けながら反撃に移った。これは「なるほど」と感心する手順で、後手の勝ちがこれで明快になった。 本譜は、▲7四飛と逃げるよりなかったようだが、△2九馬から馬を活用すると、詰めろの連続で、最後は△8九歩成がピッタリになり、生放送で行われたこの一戦は、後手藤井四段の勝利となった。 |
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